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素手で叩いたら、手をいためちゃいますよ

「あのレストラン、味はそこそこだったね」


 陽が完全に落ちた夜道の中、レストランから出た2人はホクイール唯一の大通りを、宿屋に向かって歩いている。


「そうか? 俺は美味しかったと思うけど」

「同じ料理を城下町で何度か食べたことがあるんだけど、なんかいつもより、こうなんて言ったらいいのかな、パサパサってしてた感じっていうか」

「もしかしたら、魚料理を選んだのが良くなかったのかもな」

「なんでー?」

「王都よりもさらに海から離れている分、鮮度が落ちているんじゃないかと」

「なるほど」

「カザンと海が近い南部の町を旅してた時、

 城下町なんかと比べものにならないくらい海の幸が美味しかった記憶があるしな」

「じゃ、今度はそこでおごり直しだね」

「えっ? そういう問題?」

「うん、そういう問題」

「左様ですか」


 シャルルはにこやかな笑みを浮かべた後、言ってみるもんだね、と付け足した。そして何かを思い出したかのように手を叩く。


「そうそう、帰ったらまた魔具の調子見てもらえないかなー?」

「いいよ、ただし今度は外でやろうな」


 宿に戻りカウンター前を通りすぎようとした時に、宿屋の店主に声を掛けられる。


「あっ、すみません、お客さん達を訪ねて来られている方がいらっしゃるのですが、少しお待ちになって頂けないでしょうか?」

「はぁ」


 返事をすると、店主はそそくさと裏に引っ込む。

 もしかしてカザンかな? もう盗賊の件が片付いたとか?


 戻ってきた店主の後ろから、ガシャガシャと金属音が擦れる音が聞こえてくる。

 これはもしかして。


「シグナさん、シャルルさん、お久しぶりです」

「パラディンさん、おひさー」


 頭の頂辺から足のつま先までの全てを、黄色に塗装した鎧を覆った男が目の前に立っていた。

 すっぽり被った兜のため、顔はもちろん目線すら分からない。


「そうそうシャルルさん、この度は特務部隊への転属、おめでとうございます。日頃からの頑張りが報われましたね」

「そんなことないですよ、たまたまですって」


 照れ隠しなのか、シャルルはパラディンの鎧をバンバン叩き、ついでにお腹の辺りの鉄板にボディーブローを数発入れる。そんなヤンチャなシャルルに対して、「おやおや」と落ち着いた声を出すパラディン。

 このまま放って置いたら頭まで叩きそうな勢いなので、話を本題に移すか。


「ところでなんで俺達を待っていたんだ? それとどうしてここだと分かった?」

「この場所が分かったのは、事前にシグナさん達が着いたら連絡するように、お店の人に頼んでいたからなんですよ。それとお待ちしていた理由なんですが、少し場所を変えてもよろしいですか?」


 他人に聞かれたら困る内容、という事か。


「わかった、俺の部屋に移動しよう」

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