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英雄の墓所

 ホクイールに向かい、3人は山道を下っていく。

 そしてなだらかな下り道の途中で少し大きな道に合流しさらに進んだ。

 この辺りから前後にちらほら人の姿が見え出す。


「ミケ、そういえば旅って行き先決まってたりするのか?」

「そだね~、ザザード砂漠の手前まで北上して、英雄の墓所に立ち寄る予定だよ」

「あっ、そこ私も行ってみたいなー、だめ?」

「シャルル、俺たちは任務で動いてるわけだから、ミケにはついて行けないぞ」

「はあー、まとまった休暇貰ったとしても結構遠いーらしいから無理かー」


 英雄の墓所、そこはレギザイール国内の最北部に位置する場所で、歴史に名を刻んだ英雄達が眠る場所である。

 行ったことのある人の話によると、腐敗を防ぐ為に氷のような物の中に人が閉じ込められているらしく、専属の魔道士はもちろん、観光に訪れた人達の魔力も利用して生前の姿のまま保存されているらしい。

 実はシグナも一度は訪れてみたい場所の一つであり、レギザとイールを和解させ1つに纏めたサージロットレギザを始め、妖精の都を訪れたという魔道士ウラヌス、一騎当千と謳われたザナドゥ等も眠っている。

 でも王都からだと、徒歩で一ヶ月近くもかかるんだよな。

 ミケは人生を満喫している。

 視線を感じたのか、ミケはこちらにハテナ顏で首を傾げた。

 そしてしばらくすると、ホクイールの街が見えて来る。


「じゃ、私はここで」


 街へと続く街道の途中にある分岐点で、ミケとはお別れをする事になった。

 ミケはこの街には寄らず、今日の内にさらに北上するそうだ。


「それじゃ、元気でね~」


 歩きながら手を振るミケ、こちらも見送る形で手を振った。


「そうそうしゃるるん、頑張るんだよ~」


 そう言うと、ミケは道ゆく人達の中に加わっていく。


「さて、俺たちも行くか」

「……そだね」


 ん?

 またシャルルの元気がなくなった、かな?


 開け放たれている大門をくぐり、街の中に入った2人は宿屋の確保を済ませたあと、シャルルに誘われ街の探索をしていた。

 カザンと一緒に行動をしている時は、旅に必要な物を売っているお店に、用事があるときだけ行くぐらいだったので、何も用事がなくただブラブラと街を歩くのは新鮮であったりする。


「シグー、これどうかな?」


 お店の外に陳列されているメガネの1つを手にしたシャルルが、体をくの字に倒すとメガネをした顔をこちらに近づけた。

 そしてニシシと笑う。


 今まで気にしていなかったが、シャルルのこういう行動の1つ1つが女の子なんだなーと思うようになっている、自分がいたりする。


「あぁ、似合っているよ」

「ほんと! 買おうかなー」

「目、いいんだろ?」

「うん、これ掛けたら前がぼやけて全然見えない」

「そんな使えない物を、買おうとするなよ」

「いやいや、プレゼントして貰おうかなと」

「もしかして買うのは俺?」

「嫌なら別にいーんだけど、その時はお金の移動がなく、物だけが私の元にくる事になるわけなんだけど」

「それってもしかして、盗んじゃうって事!?」


 シグナの声に反応したお店の人が、懐疑的な表情を向けこちらに歩み寄ってくる。

 慌ててシャルルはメガネを棚に戻すと、2人はその場を走って後にした。

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