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嘘つき?

 音がしたこちらがよほど気になったのか、血眼になって探し始める男達と警備兵。

 時間が流れるにつれ、こちらとの距離が縮まって行く。

 そこで渾身の猫の鳴き真似をやってみたのだが、それが逆効果となり、警備兵が更に歩みを進める結果となってしまった。


「そこだ! 」


 力強く指をこちらに向けるのは警備兵。

 少し自慢げだ。


 なんだかな、と思いながらも見つかったものはしょうがない。格好良く登場する機会を失ったし、素直に姿を見せることにするか。

 その場から立ち上がり物影から姿を現すと、双方こいつは誰だと言わんばかりの形相で皆の視線が一斉に向けられる。


 どうやらシグナが何か話し出すのを、皆待っているような雰囲気になってしまっている。そこで警備兵に歩み寄りながら、男達に聞こえるように大声を張り上げる事にする。


「多勢に無勢だからな。この双頭の魔竜殺し(ドラゴンバスター)が助太刀するぜ! 」


 その言葉に警備兵は、頭からすっぽりと被っている帽子をビクンと微かに震わせ、そして横に並んだシグナにだけわかるように少しだけ頷いてみせると、体を仰け反らせて男達を真正面から()()()見下ろした。


「ふっふっふ、だから言ったであろう。抵抗するとこの魔竜殺しが黙っていないぞ! 」


 あれ?

 近づいてわかったがこの声色、もしかしてこの警備兵、女性なのか?


「おい、やばいんじゃないのか? 」

「ほっ、本物か? 」


 その時、1人の男がシグナを見て何かに気づいたように声を張り上げる。


「こいつ、偽物だ! 」

「な、なにを言っている!? 」


 男の指摘に、警備兵の声は完全に裏がえっていた。


 指摘した男が不敵な笑みを浮かべ、今度は逆にこちらを見下ろしながらニタリと口を開く。


「そこの兄ちゃんはシグナなんかじゃねぇ! 何故なら、シグナ程の男が一等兵のわけないからな! 」


 男はシグナの胸元に縫い付けられている一等兵の階級章を指差し、勝ち誇ったように声を上げた。


「しまった! 」


 警備兵もシグナの胸元にあるバッチを確認すると、まるで絶叫を上げるかのように叫んだ。


「どおりで物取り程度で」

「ヤロー、ビビらせやがって」


 男達は口々に言葉を吐き捨てながら、こちらに剣をチラつかせながら詰め寄り始めた。


「もういい、私が隙を作るから、あなたはここから逃げて」


 警備兵の意外に落ち着いた言葉。

 しかし膝が震えていることから、勇気を出しての台詞なのであろう。


「早く! 」


 再度逃げる事を促す警備兵。

 そんなシグナ達を男達は、ニタニタと笑みを零しながら周りを取り囲んでいった。

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