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刺客あらわる!

 シャルルは両手一杯に魔具を抱えている。


「そこ、いいかな?」

「あぁ」


 上体を起こしベットに座りなおすと、シャルルは抱えた魔具をベットまで運びうんしょと下ろしたのち、シグナと魔具の間にちょこんと座った。

 そしてシャルルはこちらに背を向けると、魔具を操作するための準備にとりかかる。


 ん? 良い香りがする。

 シャルルから漂う石鹸の香りがシグナの鼻腔に届いていた。シャルルに視線を向ければ綺麗な首筋が露わになっており、思わすゴクリと音を立てツバを飲みこんでしまった。


 いかんいかん、なにを想像しているのだ。今まで可愛い弟のように接してきたシャルルに対して、扇情的な考えを抱いてしまうなんて。

 しかもシグナを信頼しているからこそ、こんな無防備な姿を見せているのだ。そんな考えを持つことは、すなわち裏切りである。

 それにこうも言っていた、そういうのは最後の手段として取っておきたいと。

 シャルルのためを思うなら、頭の中を支配しそうになるこの考えは許されないものなのだ。


 しかしこの距離は不味いな。

 理性を保つだけで他の思考が停止してしまいそうになっている。

 よし、変に意識してしまっている事がバレないように、シャルルが向こうを向いている今のうちに少し距離をとるぞ。


 お尻ひとつ分横にズレると、思いのほかベットのスプリングが効いていたため、少しだけだがベットが跳ねてしまった。

 すると魔具を扱っていたシャルルの方からガチッと金属を落とす音が聞こえた。


 大丈夫だ、揺れたのは少しだけ、ばれていないはず。

 しかし振り返ったシャルルはこちらに明るい笑みを見せる。


「ごめん、なんか近すぎたかな」

「いや、ちょっと座り心地が悪かっただけだから」

「そかー、ははっ」


 シャルルもお尻ひとつ分離れると、魔具の取り付けを続けた。


 その時だった。

 どこからともなく殺気を感じたのだ。

 どこからだ?

 視線は極力動かさず、自然な振る舞いの中で辺りを調べる。

 ん! 扉の隙間か!

 再度座り直す動作でさらに横に擦れ、魔竜長剣に手をかけていつでも対応出来るように前のめりに体重を移動させたのち、視線をその扉のほうに一気に向ける。

 そして覗いていた主である、ミケと目が合った。


 こちらと目が合ったのに、ミケは視線を逸らすことなく、逆にさらに強烈な殺気を放ち始めていた。あまりの目力に呑まれそうになる。

 なんなんだ一体?

 とにかく訳がわからないが、このまま視線を合わせ続けるのは不味い気がする。

 そしてなんとか目線を外した。


 ……もしかして今日の振る舞いでなにかマズったのか?

 そう言えば少しだが、何度か口答えをした気がする。あれだけ、あれだけ怒らせたらいけないと思っていたのに。

 そう言えば、たしか射殺すとかも言っていた。

 まさか……そんな、馬鹿な。


 準備の終わったシャルルも、その扉の隙間から見ているミケに気づいたようで、一瞬驚きの声を漏らす。

 するとミケは頭を引っ込めてしまった。

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