禁呪フレア
魔具探し。
オーダーメイドなんてものもあるが、価格が跳ね上がるので現状では無理。なので出来合いの物の中から探さないといけないのだが、知識はあるに越した事はない。
魔具を探す上で参考になればと、シャルルと同じ体質だったとされる大魔道士の事について王立中央図書館で調べてみた。
大魔道士ディブレフルール、数々の星の魔法を生み出し操ったとされる千年前の魔道士で、禁呪フレアを編み出しそれを使用した事で有名である。
ちなみにシグナも先日まで知らなかったのだが、彼がシャルルと全く同じ特異体質だったと言う事は、あまり知られていない。
そしてもう一つ、この大魔道士は凶行に走ってしまう。幾つか説があるが、天才が天才であるがため、常人とは違った理解しがたい思考回路を持っていたのかもしれない。
彼は長い期間、魔法の研究のために山奥で人と関わることを極力避けて過ごす。そして彼が歳を重ねたある日、麓の町に足を踏み入れると禁呪フレアを放ち自身も命を絶ったとされている。
禁呪フレア、彼が死んでしまった為誰も使えない魔法となってしまったが、その威力は凄まじかったようだ。
その町から見渡せる全ての景色が白い炎に包まれ、それから丸々一年もの間その一帯を燃やし続けた。
他には若い頃に旅をしていた時期の記述も少しあったが、強力な前衛がいたため彼が魔法を使う機会は少かったらしい。
結局、そこに魔具のヒントになるようなものは無かった。
「シャルル、そろそろどんな魔具にするのか決まってたりするのか?」
「そだねー、私としては剣を握っている手を一度外して指輪を突き出す、って言う動作を省きたいんだよね」
「ふむふむ」
「だからこのままピンとくるものが無かったら、零れの魔具にしようかなと」
シャルルの魔力が枯れない特異体質は、魔具の剣との相性が抜群である。
無い物ねだりをしてもしょうがないので、シャルルが言うように零れの魔具のように予備動作なしで自在に動く鉄球の攻撃が加わるならば、あるに越した事がない。
まっ、お金を全て使いきらないといけない訳でも無いので、それが良いだろう。
シャルルもちゃんと考えているようだ。
因みに魔具とは関係ないのだが、盾を装備してみたら? と聞くと、「その重さ分、動けなくなるし性に合わないから」と却下されてしまった。




