シャルルは考える
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明かりが乏しい中、私はユアンさんに肩を貸し4人で地上を目指す。
いつストームが引き返してくるか分からない、気が抜けない状態が続いているのに、しかし頭はまったく違う事で一杯であった。
私、どうしたんだろう?
シグナの後を追おうとして、それに続くミケさんの姿が目に入った途端、その一歩が止まってしまった。
この感じ、なんなのかな?
年が十個離れたお兄さんが戦争で亡くなって、ゴールド家の期待を代わりに背負うようになったのは、まだ7才の頃だった。
それから辛い時も悲しい時も、そしてこれからもずっと頑張り続けるために、必要以上に明るく振る舞い続けた。
人より体力が無いと判っても、それならばと技術を磨き軍にも滑り込んでやった。
お兄さんと同じ位置にきて、生まれて初めて両親から褒められた。
あの時は自分でも浮かれていたと思う。
しかし警備兵に落ちてしまい、両親の期待は落胆へと変わった。
見返してやる。
私はまだ諦めていない。
心が折れなければ負けではない、といつものように自分へ言い聞かせる日々が続いた。
そんなある日、優しいお兄さんと雰囲気が似ているシグナと出会った。
なんだか昔を思い出してしまい、いつも以上にはしゃいでしまっている自分がいて可笑しくなった。
そしてミケさんの事、自分で話しを振っておいて、シグナが冗談めかした風に言っているのが判っていたにも拘らず、言葉が詰まってしまった。
あとあんな素っ気ない態度をとるつもりも無かった。
あれはちょっと、らしくなかったかな。
いかんいかん、考えたら調子が狂いまくっているではないか。
私が生きている意味は、成功してこそなのである。
早く元に戻してしまおう。
ただもうちょっとだけなら、シグナのそばにいても……罰は当たらないよね?




