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城下町の下の顔

 一同は魔力を辿り夜の街を慎重に歩く。

 ひと気の無い路地を進んで行くと街の一角、小道に現れた暗がりの前へと辿りついていた。

 目を凝らすと地下へと続く階段が伸びていた。


 レギザイールの城下町は何度か街の改装を行っている。方式としては改装地区を取り壊して建て直すのではなく、その地区を全て埋めてしまいその上に新たな建物を建てると言ったものだ。

 なので街の外から外門を潜り城下町に入るとすぐ急な上り坂に出くわすのはそのためだ。

 因みに現在は一番古い区画である西地区でその改装工事が行われている。


 また本来なら違法なのだが、この一度埋めた場所を掘り起こし地下で生活する者達が後をたたなかったりする。

 その殆どが浮浪児や宿無しで、落盤の危険を顧みずに仮住まいとし問題になっていた。

 また大きな空間が幾つか存在し、その一つが裏闘技場の役割を果たしており、その場所で決闘を行う者や闘いを賭博の対象として稼ぐ者もいたりする。


「うーむ、困りましたね」


 その階段の前で1人、どうしたものかと迷う素振りを見せているパラディン。


「パラディンさん、どうかされちゃいましたか? 」


 シャルルが声をかけた。


「実はあまり目が良いほうでは無くてですね、月明かりも届かない暗がりになるとほぼ見えなくなるのですよ」

「そうなんですねー、そしたらここからは私達に任せといて下さい」

「申し訳ありません」


 その樽型の兜を脱げば少しは見えるんじゃないのかと思うのだが、この男がいてもあまり変わらない気がするので何も言わないでおこう。


 パラディンが見送る中、残りのメンバーで階段を下りていく。

 地下は完全な暗闇と言う事はなく、所々に自生している光苔でなんとか先が見えるぐらいの明かりを保っていた。


 魔力を頼りに細い土壁の道を前進し、いくつか階段を下り奥へ奥へと進んで行く。


 しかしあまりにも人に出くわさないな。

 この時間帯なら寒さを凌ぐ人達がチラホラ目に付くだろうに。


「ひぃっ」


 先頭のユアンに続くヤンが突然短く悲鳴を上げた。

 駆け寄ってみれば、今朝のように何かに食いちらかされた有様の死体が転がっていた。異形の腕を持つストームの姿が頭に浮かぶ。もしかしたら本当に奴が食っているのか?


 そこから先は、普通に死体がある光景が目に付き出す。中には賞金稼ぎ風の、手に剣を握りしめたままの死体もあった。

 そこで我慢の限界に達していたヤンが、突然引き返そうと言い始めた。その言葉にユアンの表情が険しくなる。


「お前が先を行かなくてどう進めと言うのだ? 」

「そんな事私には関係ないですよ」

「なんだと! 」


 ユアンの苛立ちが目に見えて分かる。しかしヤンもここは一歩も引き下がらないようだ。


「急遽本部に転勤が決まって喜んでいたのに、来てみれば前任者の引き継ぎもなく初日からこんな怖い思いをするなんて聞いてないですよ」

「でも~、ここから1人で帰るのはかなり危険だと思いますよ〜」


 話に入って来たのはバレヘル連合の女性。


「うぐっ」

「とりあえずこんな狭い所で話すのは危険なので、あそこに見える広場まで行ってから、もう一度考えてみませんか〜?」


 ミケとか言う弓使い、さらりときつい事を言うんだな。

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