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 嫌な予感がする。

 急いで激しい音がした方へ駆ける。

 そして広場に出ると、視線の先には地に伏し崩れた壁の下敷きになっているパラディンの姿があった。

 パラディンの安否を確認しようとするが、思わず目を奪われてしまう。


 なんだ?

 こいつがストームなのか?


 パラディンから少し離れた位置に前かがみで立つ者。

 目深に被ったフードのため顔は見えない。そして同じく身を隠すように纏ったコートの隙間から右腕が伸び剣を握っているのだが、それは明らかに人の腕ではなかった。

 皮膚に丸みは全く存在せず、黒とも緑とも言える色彩をした角ばった腕。剣を握る手の平は人の倍はある大きさで、異様に長く伸びた鋭い指。

 コートのシルエットは人であるのだが、その異様さから人に化け物の腕が生えたような違和感を感じずにはいられない不気味な姿。


「シグシグさん、気を付けて下さい。相手は風を使いますよ」


 その声で我に返る。

 目をやると鋼鉄の黄色い盾を地面に立て、瓦礫の中からパラディンが体を起こしている最中であった。


 無事だったか。

 しかしホッとしている場合ではない。

 あの腕は一体何なんだ?

 ここからでははっきりと分からないが、もしかしたら特殊な篭手かなにかの魔具なのかもしれない。


 とにかくシグナも現場についたと言う事を知らせると同時に、他のメンバーが迷わずここに来れるように花火を打ち上げるべきだ。

 ベルトに通してある袋に手をかけようとして、思わず手を止めてしまう。

 シグナに向けて、奴から凄まじい程の殺気がだだ漏れし出したからだ。


「レギザ兵、殺ス……殺スゥゥゥウグゥァー! 」


 言葉が咆哮へと変わる。

 今にも襲いかかって来そうだ。

 恐れるな!

 こんな奴、夢の世界の化け物に比べたら可愛いものではないか。

 未知なる相手だが、言葉を話している。あれは紛れもなく人間だ。

 耳を澄ませ、相手が魔法を使うのを聞き逃すな。

 観察しろ、冷静になればあの異様な腕はただ剣を握っているだけだ。


 とにかく隠れた腕のほうに注意をしながら、……先手必勝で行くぞ!

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