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誤解なんです!

 街の巡回。現在人通りの少ない路地裏を中心に見回っています。

 あとあの賞金首稼ぎの親子を倒したのはいいんだけど、彼らが脱落した分捜すエリアが広がりうんざりしてたりします。


 いかんいかん、リラックスしなくては。ゆっくり、そして大きく深呼吸を行うのだ。さっきの決闘であまり魔力を消費しなかったので、全快までにあまり時間はかからないだろうけど。

 おっ、この感じ、魔力が全回復したかな。


 それから足どり軽く見回っていると、見たことがある姿を発見する。

 あいつは酒場であった弓使い。ここはシグナの持ち場なのだが、どうしてこんな所まで来ているのだ?


「よっ、迷子か? 」

「………… 」


 ん、聴こえなかったのかな? 弓使いの近くまで行くと、顔を背けられたので真正面に移動をし瞳を見ながら話しかける。


「こんなとこでどうしたんだ? 」

「……、ナンパですか? 」


 えっ? ……確かによくよくみれば、この人綺麗だな。

 その肌の色は朝日に照らされる舞い落ちる雪を連想させ、見た人を引き寄せそうな大きな瞳はどこか優しげ。鼻筋も高く整った顔だちで、そのためよく声をかけられているのかもしれない。

それより誤解を解かないと。


「いやいや、ただこんなとこでどうしたのかなと」

「てゆうか誰? それ以上近づいたら大声出しますよ 」

「さっき酒場であったじゃないか、てゆうかあれっ、もしかして別人? 」


二人の間に沈黙が流れる。


「あー、あのいやらしい目でジロジロ見ていた男達と、仲良さげにしていたレギザ兵ですね」


 あいつら、そんな誤解を招くような事をしてくれちゃっていたのか。これから問答無用で、名前をフル活用してやる。


「あいつ等はたまたま一緒にいただけなんだ。それでパラディンを捜しているんだろ? 」

「あなたには関係ありませんけど」

「いや、俺もストーム対策部隊のメンバーなんだよ」


 なにこの微妙なフレーズ、必死に言って超恥ずかしい思いしてるんですけど。

 あっ、今こいつくすみ笑いしやがった。

 シャルル~、覚えていろよ。


「仲間ですね~、わかりました。因みにパラディン隊長にはもう会いましたよ。今は別れて街のパトロールをしているとこです」


 余計な心配だったか。

 まっ、欠員の件もあるし丁度いいか。


「えーと、本当ならここの区域から旧教会辺りまでが俺の持ち場なんだよな。それで少し欠員が出てそこのカバーもしないといけないんだけど、引き続きここら一帯もお願いしていいか? 」

「あっそうなんですね。わっかりました。ではでは~」


 弓使いは後腐れなくすたすたとその場から立ち去ろうとする。

 シグナも背を向け歩き出した、とその時、後方から花火が上がる音が聞こえた。振り返ればすぐ近くの空に再度パパンッと音を鳴らし花火が上がっている。この黄色の花火は隣の地区を担当しているパラディン。

 恐らくシグナ達が一番近い。

 と、こちらも見ずに駆け始める弓使い。

 シグナも足に風を纏わせる。

 こういう時は出し惜しみはしない。どの様な状況なのか分からない時は最悪の状況を考え行動だ。

 一気にトップスピードに乗りシグナも駆ける。


「なっ!」


 驚きの声を上げる弓使いを追い抜き、道と併走して並び建つ壁を蹴ると、一気に二階建ての建物の屋根へと上がる。本来なら正面の建物を迂回しないと花火が上がった地区には行けないのだが、このまま屋根伝いに行けば大幅なショートカットが出来る。

 屋根の上を移動する途中、前方に道があるため建物と建物の距離がある所は魔具を使い飛び移り、花火が見えたおおよその場所へ向かい突き進んだ。


 そして駆けること暫し、かなり近づいただろう。花火が上がったのはだいたいこの辺りのはずだ。

 その時、近くで沢山のガラスが割れる音と、ゴツゴツと石と石とがぶつかり合う衝撃音が鳴り響いた。

 音がしたほうに振り返ると、微かな風に乗って殺意がここまで流れて来ていた。

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