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魔法返し

 しかしやはり炎の剣は厄介だな。

 どう対処しようか?

 剣で受ければ火の粉が舞い、躱すにしても、剣の間合い以上に炎が伸びてくる。服に燃え移ろうものなら闘いどころでは無くなってしまう。

 例に漏れず一番厄介な属性である炎対策として、コートには魔法のコーティング加工が施されてはいるが、安価なため気休め程度だ。


 考えが纏まらない間に魔道士が突っ込んで来た。戦士に加わり炎の剣で斬りかかってくる。

 戦士には劣るがそこそこの太刀筋である、がやはり焦りがあるな。時間が経てば魔力が尽きる。そうなっては戦士一人では荷が重い事を魔道士はわかっているようだ。

 しかし戦士が上手いこと間合いの調節をしながら防御主体の立ち回りをしているため、こちらも中々崩せないでいる。


 このまま魔法使いがジリ貧になるのを待つのも手ではあるが、それでは駄目だ。

 逃げてばかりでは無く、こちらの攻撃で闘いに決着を付けるための、キーとなるアクションを起こすのだ。

 冷静になれ。

 判断ミスをしたと見せかけ、誘う。

 そこで相手の一手先、予想を上回る攻撃をするのだ。


 気合と共に斬りつけてくる戦士。

 ここだ!

 その戦士の攻撃をわざと真正面から受け、バランスが崩れる。そこに魔道士の炎の剣が横凪に迫る、が何とか剣で受けながら体勢が悪いながらも戦士の方へ飛んで勢いを殺す。

 次の瞬間、戦士は剣を振り上げ、魔道士は追撃の火の玉を放つため炎の指輪をこちらへ突き出した。


 来る、落ち着け。

 冷静に確認をし、判断し、実行に移す。ただそれだけだ。

 今から戦士の斬撃を受けずに紙一重、いや薄皮一枚でやり過ごすまで引き付ける。そして動作の比重を火の玉の対処に大きく傾けるのだ。


 魔道士から放たれる火の玉。

 ーー今だ!

 風をイメージ。

 すでに火の玉は目の前だ。

 風を纏う。

 振り下ろされた戦士の剣が、シグナの頭をかち割ろうと迫る。

 げっ、これほぼ同時で攻撃来た!

 いや、やる!


 重力に身を任せ体勢を沈め始める。火の玉がシグナに吸い寄せられる様に胸元へと飛び込んで来た。魔竜長剣の切っ先を前方下方へ突き出す構えを取ると同時に、魔具を発動。構えたまま半歩、火の玉方面へ移動!戦士の剣によって髪の毛が切られる感触がしたが、戦士の一振りはそれのみで後は虚空を切り裂く。

 そして魔竜長剣の殴打面である竜鱗部分で火の玉を受けとめると、接触と同時に形を崩し広がっていく火の玉。シグナはその状態で戦士に向かって魔竜長剣を横に振った! 軌道を戦士に変えた崩れかけの火の玉。咄嗟にそれを防ごうと腕を出す戦士だったが、そんなんじゃ防ぎきれない。崩れた火の玉は問答無用で戦士の上半身に降り注いだ!


 驚きの声を上げる魔道士と、悲鳴を上げながらすぐさま地面に転がり、髪の毛や服に燃え移った炎を消そうとする戦士。


「ーーまだやるか? 」


 シグナの問いに、魔道士は静かに手を挙げ降参の意思を表した。


「親父、早く消してくれ! 」

「馬鹿もんが、それくらいで狼狽えすぎじゃ! 」


 魔法使いの魔具の指輪から出た水のスイカ程の大きさの水の塊が、バシャッと戦士の上半身に直撃する。

 と言うか、この2人親子だったの?

 まぁそれは置いとくとして、そこそこやる奴等だった。失敗していたらマジで死んでいたかも。

 まっ、まあ弱過ぎたら名前を使う意味もないし、良しとするか。


 シグナは内心ドキドキしながら広場を後にし、自身の持ち場へ移動を始めた。

 しかし今日という今日は、正直疲れた。

 神様お願い!

 出来ればストームには会わずに、今日は早くベットで横になりたいです。

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