表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/316

軍の報酬システム

 シグナは牢獄の地下に到着すると、カードを元の場所へ戻した事と先程のやりとりを伝えに、再度水晶内の世界を訪れていた。

 そこでカザンを探して歩いていると、廃墟の一角に腰を下ろしているところを見つける。


「よっ、カザン」

「おお、早かったな」


 手配書の件が無事受理されたが、役所の人間が意味深な発言をしていたと報告をすると、カザンは少し考える素振りを見せた。

 そして取り合えずこちらからは何もアクションは起こさずに、また何かあれば来てくれと言うことになった。


 その後シグナは、出来上がった手配署をまずはレギザイール軍本部へ提出し、その足で手配署を貼らせてくれる酒場を一軒一軒しらみ潰しに訪れて、複写した手配署をお店の人に渡して回った。


 しかしこれで鑑識魔法を使える者を必要時に呼べるようになったのだが、ストームの懸賞金が二万Gと言うのはやはり少なすぎる。

 これでは駆け出しの賞金稼ぎが腕試しで挑戦するぐらいで、こちら方面からの新たな戦力は期待出来そうにない。

 ただ軍へ提出したほうは、余程の用事がない限りユアンが参加してくるだろうから、下手な賞金稼ぎなんか比べ物にならないぐらい頼りになるだろうが。


 因みにこれら手配書や報告書を軍に提出すると、本部の総務部が目を通すことになっている。

 そして重要性や危険性が高いと判断されると、動ける人員の中から調査隊や討伐隊が組織されるのだが、軍も人を動かせば遠征費用や特別手当等が発生するためその腰は重い。

 なので傭兵ギルドや賞金稼ぎ達でどうにか出来そうな小さな案件だと、丸投げする事が少なくないのだ。

 ただし軍に所属するレギザイール兵が、その小さな案件へ立候補出来る制度がある。ただしその場合はあくまで自主参加という面が強く、日常の訓練の合間や休暇中に参加を認めるものである。

 もちろん特別手当はいっさい出ず、捕まえたり討伐するなりの成果を出しても手配書にかけられた報奨金だけが貰えるというものだ。

 これは十年前に終結しシグナの両親を亡くしたダイセン王国との戦争で、レギザイール王国はかなりの財政難に陥っているためだ。


 ちなみにカザンは連隊長だけあってかなりの報酬を貰っているのだが、道行く先々で任務とは関係ない人助けを行っているため、仕事の割には全然受け取っていないと思う。

 あとカザンは笑っていたが、明らかにどうでも良い任務をよこしておいて、別の大きな案件の真っ只中に行かされる事もしばしば。

 カザンの人の良さを利用した本部からのこの手の依頼、悪意を感じる。


 まあとにかくだ、本部にはユアンを推薦しておいたし完璧主義で潔癖性の奴の事だ、一度絡んだストームの件には必ず首を突っ込んで来るだろう。


 それより腹が減った。

 考えれば朝にパンを食べたっきり何も口にしていない。

 でもイカ墨は勿論麺類系と茹で卵は今回パスだな。

 そう言えばこの近くに行列が出来るパン屋さんがあったか。

 この時間帯なら人も少なくなっているだろうし、そこで食べ物を買ってシャルルとの待ち合わせ時間である夕方まで、カフェでまったりと過ごすとするか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ