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暗黒エネルギー波!

 辺りは音が消失したかのように静まり返っていた。

 いや、実際は今までとなんら変わりなく周りには音が存在しているのだろうが、空中に浮かぶ男の存在が大きすぎるのか、俺の脳が他の音を音であると認識していないような気がする。

 そして、男がまた口を開いた。


「だがしかしーー」

『キュピィーーン! 』


 男の声と同じくして、どこかで甲高い音が微かに鳴ったような気がした。しかし上空の男から目が離せない。

 そしてその男からは、いつの間にか怒気が溢れ出ておりーー。


「邪魔だの! 」


 男は手を翳した。その方向は、あの裂けた空間に磔にされている巨人のほうである。また男の手は、肘から先がキラキラと輝いていた。

 まるでクリスタルが光りを取り込み、その内で乱反射を繰り返すような鋭くも幻想的な光りを。

 男の声に、腕の輝きに、一時目を奪われてしまっていたが、それは一瞬の事であった。強制的に目を覚まされたのだ!

 男のその光り輝く美しい手に、野太い暗黒エネルギーが激突したため!

 エネルギーが発射された方を見れば巨人がいた。その巨人の口からはゴゥゴゥと大気を震わす程の、憎悪が絡み合うように束となったような超極太の暗黒光線が解き放たれ続けている。

 それを男は、翳した腕一本で受け止めていた。

 いや待てよ、あれは受け止めているのではなくーー。

 男の輝く腕がエネルギー波と同じようにドス黒く染まってしまっていた。そしてその腕が激しく膨張と伸縮を繰り返していた。その動きは飲み物を続けて流し込んだがために連続して上下する喉のようだ。

 そう、まさに今、巨人のエネルギー波を男の腕がゴクゴクと飲み込んでいるように見える!

 そこでまた声が聞こえた。


「相変わらずよのう。流石、獰猛どうもうの化身と言ったところか」


 あの男の声だ。


「しかしそんな事をすればどうなるのか、よもや忘れたわけではあるまいな」


 男が不敵な面構えで笑うと、磔巨人のエネルギー波がピタリと止まった。そのため巨人の醜い口が露わになっている。

 そして男の方はと言うと、暗黒に輝く腕がはち切れないばかりに盛り上がり、溢れんばかりのエネルギーがその腕から感じ取れる。


 ……これは、吸収しやがったのか!?

 あの凶悪なブレス攻撃をエネルギー波を!


 そこで磔巨人が再度吠えた! そして鋭い牙が囲むその口を大きく開く!

 またあの暗黒エネルギーを放出するつもりなんだ!

 ……しかしその口元には、先ほどのようにエネルギーが集まってこない。


「根こそぎいったからの、当分は無理であろう」


 根こそぎいった?

 根こそぎ吸収? ……もしかして、根こそぎ奪ったとでも言うのか!?

 そのためエネルギー波が集めれない!


 その時同じく浮かぶ、七色に輝く魔女の姿が視界に入った。

 そう言えば、これはいったいどう言う事なんだ?

 魔女と男は仲間ではなかったのか?


 すると男が魔女の方へスッと視線を送った。それはここからでも分かる程の冷たい、見られた者の心臓を鷲掴みにする凍てついた視線であった。

 その視線を受けたからであろう、魔女は魔法の詠唱をやめた。そのため魔女を中心に出来上がっていた数多くの魔法陣は、次第に色褪せていくと擦れ次々に夜空に溶けていった。

 するとパックリと裂けていた異界との扉が、ゴォゴォゴゴゴォッと空気を振動させ少しづつ閉じていく。


 そして赤黒い世界の見える面積がドンドンと減っていく中、魔女はあっけらかんとした感じで口を開いた。


「あら、あれは貴方に恨みでも持ってたのかしら? 」


 魔女のその言葉に男は、俯くと静かに両の瞳を閉じた。

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