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魔女の仕業!?

 夜空に出来た朱色の亀裂、それは魔女の呪文詠唱が続く中ビシビシと音を立て、その長さを伸ばしていく。亀裂の範囲が広がるに比例して、聞こえてくる雄叫びも大きさを増していく。これはなんかヤバすぎる。

 どう考えても、あの亀裂の向こう側に、この雄叫びをあげている何者かがいるはずだ。


『ドゴンッ! 』


 近くで重たい物が倒れる音がして我に返る。そしてーー。


「ジダン様、こちらに怪我人が倒れています! 」


 ドリルの声が近くの建物の中から聞こえた。

 そうだ、今出来る事をやらねば!

 それより頼むから死人とか出てくれるなよ。一応これでも聖職者のはしくれなもんだし、目覚めが悪くなる。


「よし、待ってろ! 」


 ドリルの声がした方へ駆け寄ると、辺りを注意しながら建物の中に入る。すると成人男性が崩れた壁の残骸の傍で、頭から血を流して横たわっていた。気を失っているようだ。


「崩れた壁の、下敷きになっていました! 」

「わかった、あとは任せて他の奴らを助けてやってくれ」

「わかりました! 」


 倒れた男の元に着くと怪我の具合を見る。頭のすり傷の他に右腕の骨折に手足を所々切っているようだ。このぐらいなら自己治癒能力を高める回復魔法、『ケミホワ』で充分だな。

 早速魔法を発動させ、白く暖かな光に包まれた手の平を翳すと、男の荒かった呼吸が静かで穏やかなものへと変わっていく。

 よし、こいつは大丈夫だろう。

 そして不意に崩れた壁穴を見た時、人が倒れているのに気付く。こちらはどうやら女性のようで、隣の部屋から脚だけが見える形になっていた。

 はぁ〜、どうやら運が無い奴らが多いようだ。その負傷者の元へ駆け寄ると、目立った外傷は無かった。脈を測っても正常である。

 なんだ、単なる気絶かよ。ビックリさせやがって。

 すぐさま外に出ると、耳を澄ます。今気付いたんだが、助けを求める声のところに行けば良かったんだ。

 断続的に雄叫びが聞こえているため他の声を拾うのは難しいが、神経を集中して雄叫び以外の音を探す。


 ちょうどその時、サクが次の魔法を完成させたらしく、轟音と共に雷魔法を放った。しかし魔女の目の前に突如として現れた魔法陣が、サクの雷魔法を散り散りにして明後日の方向へ反発させてしまった。その魔女の魔法陣は、その後すぐに薄らぎはじめると消えてしまった。

 くそっ、戦闘に参加しようにも相手が浮いたままだと何も出来やしない!

 兎に角今は音だ、人の声を探すんだ!


 ……。


 …………。


 どういう事だ? 声どころか、音もしない。

 そう言えばさっきから街に人の姿が全く見えない。怯えて建物から出ない人もいるかもしれないが、恐怖で声を上げる者どころか、辺りを探ろうと窓から外の様子を見る人の姿も見えない。

 まるでこの街の住人が、忽然といなくなってしまったのか、もしくは眠りこけてしまっているかのように。


 そこでふと倒れていた女性を思い出す。

 ……あの女性、もしかして寝ていたのか!?

 魔女は開戦前に魔法を唱えていた。あの波紋が広がるような波動を見せていた魔法、あれは人の眠気を誘う『スリープ』だったのでは!?

 しかしスリープと言う魔法、攻撃対象は一人な上に相手に触らないと効果が殆どない呪文である。

 しかもアドレナリンなどが分泌されている興奮状態だと触れていても効果がないため、戦闘では使えない魔法である。

 ……そう言えば、街の住人は眠りこけている。そして起きている俺たちは戦闘中であった。

 まさかスリープの広範囲放出型、だとでも言うのか!?

 そんな馬鹿なーー。

 いや、相手はあの魔女イザネア。スリープではないにしても、奴なら強力な固有魔法をいくつも持っていてもおかしくはない。現に今、上空では見渡す限りまで伸びた朱色の亀裂が、雄叫びと共に不気味に振動を繰り返している。

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