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開けゴマ!

 肩を落としたMキラーが、誰とは無しに独りごちる。


「はぁ~、やっぱりタダ働きだよな」


 その言葉にガオウが「だろうな」っと合いの手を入れた。しかしガナベリアがそんな二人に詰め寄り猛抗議を始める。


「な、なんでそうなるんだよ!この怪物が賞金首なんだろ! 」

「もしかして人違いなのくぁ? 」


 いつの間にか復活していたネゴットが、ガナベリアの後に続いた。


「それなんだがーー」


 牙王は少年が、背後に黒幕がいる事を匂わせていた事、そしてどうやら今回の件はその何者かに仕組まれた物である事を伝えた。それに伴いこの少年を見せても廃坑の悪魔の正体であると信じてもらえない事、そして今回のことをおおやけにして賞金を貰えたとしても、命を狙われる危険性がある事を続けた。そして何より、何事もなくここから出られるかもわからない事を。


「そうじゃったか、それでは仕方がないの~」

「な、250万だぞ! 簡単に諦めんのかよ! どうにかしてーー」


 目を剥き怒りに顔を染めるガナベリア。


「ガナベリア嬢、気持ちはわかるがーー」


 真剣な眼差しで真っ直ぐに瞳を見てさとすガオウ。そしてそんな二人の間に静かな、しかしピリピリとした空気が流れた。


「……クソッ、わかったよ! 」


 ガナベリアはふて腐れた表情をすると背を向けた。

 そこに変異種と小娘達が割って入ってくる。


「サクサクと、こんな陰気な場所からおさらばアルね」

「よし、と言うことでここからは俺が指揮を取るからな! 」


 変異種がそう言うと、ネゴットとMキラーが露骨に嫌な顔をして変異種の顔を見据えた。


「なっ、もしかして不服なのか!? 昔から何かあれば俺が指揮を取っていただろうが! 」


 すると神妙な面持ちでMキラーが語り始める。


「実は当時、度々みんなから不満が上がってたんだ……」

「なっ」


 変異種の口から震え声が漏れる。


「それなら昔も今も、大差ないみたいアルね」

「ぐはぁっ! 」


 アルアル娘のカミングアウトをトドメに、ヨロヨロとよろける変異種。

 と言うかみんなの精神力は凄いものがある。それよりーー。

 私は一人離れて地面に視線を彷徨わせる。そして大体の目星をつけていたところでそれを見つけた。

 この薄暗い中では普通に見ているだけでは気付かないだろうけど、それは明らかに他の床とは違う模様が薄っすらと刻まれており、僅かに他の床より低くなっていた。

 私はその床をゆっくりと踏むと、ある事をイメージする。


 入り口よ開け!


 すると魔力が消費された感覚に陥り、ゴルムル達が壊して入ってきた鉄扉がゴゴゴゴッと音を立て上へと上がって行った。


「なんだなんだ? 」


 ガオウ達の視線がその一点に向けられ、各々が驚きの声を上げた。


 扉が上がったのは魔具の効果である。床に触れた状態で扉を開くイメージをすると、自身の魔力を使い開け閉めが出来る。つまり複合生物キメラと対峙した当初、扉が作動したのは彼自身が扉を操作したものなのだ。

 この扉が独りでに閉じた瞬間、他に仲間がいるのではと考えた。しかし最後の最後まで、手負いの私を狙う者や複合生物の加勢に増援が現れる事は無かった。

 ただこの場に居らずに別の場所で待機している可能性は依然として高い。このまま来た道を帰るのは危険だけど、ではどうやったらここからより安全に脱出が出来るのか?


 やっとみんなの所へたどり着いた私は、先程の魔具の扉の件を説明する。そしてこれからどうするのか、また何故かここには今の所敵がいなさそうではあるけれど、今後高確率で新手の敵に遭遇する可能性を話す。


「それならワシに任せんかい! 」


 私の話を黙って聞いていたネゴットが胸を張り自信ありげに叫んだが、このドワは一度私達の期待を裏切っている。そんな状態で信用するのは危険極まりないので、私は話半分に聞きながら、何か別に良い案がないのかと考え始めていた。

 そしてなんと無しに少年の亡骸に視線を落とすと、体のあちこちに先程の戦いで出来た傷が生々しく、また顔は絶命の時の表情で固まってしまっており居た堪れない気持ちになってきてしまった。

 私達は殺し合いをしたのだ。どちらかが死ぬ事はごく自然の流れであり、また逆に殺される覚悟も出来ている。しかしこんな少年が戦いに駆り出されている現実。

 世界は広いのに、少年は恐らく多くを知らないまま人生を終わらせたのではないのか?

 敗者に向けるのは失礼だと考えているのだが、抑えようとしても哀れだと言う気持ちが込み上げて来てしまう。

 そんな心持ちでいると、視界の片隅に入る少年の瞳が無念だと訴えてかけて来ている感覚に襲われた。とその時、視界がゆるゆるとした物に変わり、次の瞬間には視界がぐるぐると回り始めた。そしてさっと視界が暗転する中、私は膝を付いた辺りで意識を手放してしまった。

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