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ラッキー? アンラッキー?

「ひゃー、凄い風アルネ」


 アルアル娘の声。

 扉をやぶり闘技場の中へ入ってきたのは、賞金稼ぎゴルムルボンバーの三人であった。


「何かいるぞ! 」


 この甲高い声は変異種である。


「ドラゴン? と変態アルね」

「どっちもキモい」


 相変わらず小娘達は口が悪い。

 そして私とガオウに気付いた彼等が駆け寄ってきた。


「弓使いのお嬢さん、負傷しているようだが大丈夫なのか? 」

「私は大丈夫。それよりあの化け物が廃坑の悪魔達の正体で、戦ってる変態は賞金稼ぎのマジシャンキラー、今は一応仲間よ」


 話を聞いていたゴルムルが目を見開いたのち、ニヤリと口の端を吊り上げ後ろの小娘達の方へと振り向く。


「こんなところで会うとはな。二人とも、敵はあのドラゴンもどきだ。遅れるなよ! 」

「「了解! 」」

「あっちょっと! 」


 まだ奴の能力に関する説明がすんでないのに、三人は複合生物キメラに向かって駆け始めた。

 それよりドワーフって足が遅いはずよね? なんであんなに早いの。

 そして小娘二人を置き去りにする程のスピードで疾走する変異種が、いち早く複合生物と対峙するMキラーの隣に並び立つ。


「ボウズ、助太刀するぜ! 」

「ボウズ? ってあんたは!」

「久しぶりだな、ロギアム。元気してたか? 」

「うぉっ、懐かし。てゆうかもうボウズじゃねぇよ! それよりおっさん、こいつ思考を読むぞ! 」

「ほぉ」

「あと羽ばたきと同時につぶてを飛ばす、気をつけろ! 」

「了解、二人とも今のを聞いたな? まずは俺の後ろで待機だ!」


 追いついていた小娘達は変異種の背後に回る。


「ザコが涌いて出やがって! 」


 複合生物が翼を広げ4人に向かって羽ばたき出す。そして四人を風の激流が飲み込んだ!

 その激しい風は流れに流れる。そしてその余波でさえ踏ん張らないと立っていられないほどの風がこちらへ届く中、その風をモロに受けた四人は変異種を先頭に固まり飛ばされる事なく武器を構えていた。


「なっ、弾き飛ばしたのか! 」


 同時に赤黒い礫を飛ばしていた複合生物が驚きの声を上げ、そしてMキラーは股間を抑え飛び跳ねた!?


「どしたねアン? 」

「こいつがどさくさに紛れて、胸を揉んだ」

「へぇー」


 アルアル娘が感情の無くした瞳でMキラーに視線を落とす。

 どうやらMキラーは小娘に股間を蹴り上げられたようで、その痛みからまだその場で蹲っている。


「バカ、違うんだ! 飛ばされそうになって手を伸ばしたらたまたまそこにあっただけで、これは不可抗力だ! 」


 そこで隣のガオウが突然柱を殴りつけた。


「くそっ、ラッキーすけべか! 」


 馬鹿なガオウが悔しがっています。


「お前らいい加減にしろ、戦闘中なんだぞ! 」


 変異種に怒られた小娘達はMキラーに唾を吐きかけると、駆け出した変異種の後に続いた。

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