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意表を突く!

 Mキラーも地を這うように前方へ飛び出す、速い!

 そして一瞬にして両者が剣の間合いで対峙する。Mキラーは隙を伺い、複合生物キメラを中心に右へ左へと細かく動き回る。そこへ複合生物が、振り上げている一本一本が肉厚である剣を落としていった!


 チャンスである。

 相手がまだこちらを警戒していない。極力殺気を乗せずに弓矢を構えると、頭部に狙いを定め矢を放つ!

 しかし運悪く、たまたま動かしていた腕の一本に刺さることにより頭部には届かなかった。

 今ので完全に警戒されてしまった。

 私は横に走りながら次の矢を番え、複合生物の隙を見つけ矢を叩き込むため、観察をしながら状況を整理する。

 複合生物から繰り出される攻撃はどれも闇雲に振り下ろされているだけに見えるが、四本も腕があるため絶え間なく地面に叩き込む怒涛の攻撃となっている。

 よく見れば肉厚の剣はどれも斬れ味より叩き潰す事を前提に作られているようで、そのためこの攻撃を剣で防ごうものなら、たちまち剣はへし折られてしまい、最悪そのまま自身も叩き潰されてしまうだろう。

 Mキラーもそれはわかっているようで、自身の剣の間合いまで詰めれずに躱し続けるのみの防戦一方となっていた。そこへ遅れてガオウが戦いに加わった!


 しかし柱がまばらにあるとは言えこうも敵が大きいとかっこうの的である。横走りをしながら矢に炎を灯すと同時に、狙いやすい胴体目掛けて矢を放つ!

 しかし火矢は敵に当たることなく暗闇を手前から奥へと一瞬だけ灯しながらそのまま闇に飲み込まれてしまった。


 しかしあの動き、驚く事になんとその巨体でバックステップをして躱してみせた!

 元は少年の分際なのに、戦い慣れた熟練の戦士のように横からの攻撃に気付いた事になる。いくら目に付きやすい火矢であったとしても、それを的確に躱すだなんて!


 なら意表を突いてあげる!

 右に走りながら柱の陰にまで行くと体を隠す状態で脚を止める。そして一時が過ぎると右へ走り始めまた柱の陰に身を隠す。複合生物の視線を感じる中、それを何度かしちょうど自身と複合生物の中間点の位置に柱が来る場所まで行った時、行動を変える。

 今までのようにただじっと身を隠すのではなく、柱の陰に隠れるようにしながら複合生物に向かって駆ける!

 そうして距離を狭めた後、これから今までとは違い右ではなく左へと飛び出すのだ。そう、やろうとしているのは遠距離からではなく中距離からの、ついでに逆方向から飛び出す事による意表を突いた射撃!


 距離を詰めた私は矢に炎を灯す。

 そして柱から飛び出すと、瞬時に狙いを定め矢を握る手を離そうとする、のだがーー。

 耳はブンッブンッと空を切る音を捉え、瞳には縦回転をしながら迫る大剣が写っていた!


「ミケ! 」


 振り返りこちらに向けて叫んだガオウの声が暗闇に木霊す。

 この剣は、たしか複合生物が手にしていた大剣の一本。飛び出した私に当てるよう投げていた!

 まさか読まれていたと言うの!?

 そんな事より、躱さなきゃ!

 目の前一杯に迫る大剣は、一瞬にしてもう少しで手が届くところまで来ていた!

 血の気がさっと引く中、弓矢を握ったままの両手を身体の前に持っていくが、縦回転を続ける大剣は弓矢を持つ腕をくるりと躱す。そしてズシリとした衝撃が上から右肩を襲い、自身の肩が砕ける音が耳に届いた。

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