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複合生物

「あああぁ、ガアあぁぁァァ」


 少年の声変わりをしていない甲高い声が、呻くうちに段々と低くドスの効いたものへと変わっていく。

 赤黒く染まる全身、その顔に浮かぶ瞳孔が縦に拡がった! 鼻下から口元にかけてが正面に突き出したかと思うと、真一文字に裂ける。するとその裂けたところに次から次へと鋭い牙が突き出す。

手足が身体に対して伸びすぎたためバランスを崩して地に手をついたかと思ったら、あっという間に胴体もトロール程の大きさになり更に太くなっていく。肩甲骨から赤黒い物が盛り上がると、それが新しいもう一対の腕へと変わり、四本となった腕からは、雲の下方に差す薄明光線のような赤黒い影が一気に伸びると、それが地表手前で止まりまるで翼のような形となる。


 なんなのあれ?

 今もなお赤黒く波打ち続けているその姿は、言うならば体長三メートル程の四本腕のワイバーンである。

 ワイバーンとの違いは一回り小柄で首が短い事と、もちろん腕が多い事。またその腕の一本一本は異様に太く、先端は人の手の平のようになっているため物が掴めそうでもある。


「あれはワイバーンなのか? 」


 ガオウが驚きの声をあげるがどう見ても違うでしょ。

 それより信じられないけど、少年は複数召喚をやってのけた。しかも自身の身体に重ね合わせる形で。

 最初に影が三つ見えた事から、ワイバーンの他にあと二種類の生物が混ざっているようだけど。


「腕が四本、……アシュトルなのか」


 Mキラーの呟き。

 言われてみれば、確かにそんなのがいると聞いた事がある!

 アシュトルとは別れの山脈の向こう側に住んでいるとされるオーク族で、深い穴を掘り地底に住んでいるとされている。また彼等は四本腕であり、眼が退化して肌の色が青白いらしく、文献によっては地底の民とも呼ばれたりもしてたりする。


「アシュトル? よくわからんが、コイツが廃坑の悪魔の正体で間違いなさそうだな! 」


 まあ少年本人もそう言ってる事だし、ガオウの見解通りほぼ間違いないでしょう。


『バアァァーン! 』


 その時突然、けたたましい音が広場に鳴り響く。

 音がしたほうへ見やれば、先程この部屋に入るために通った通路とこの広場の境目に、人工的な鉄板が下りてしまっており僅かに砂塵が舞っていた。

 この事実は、即ちこの部屋と外が遮断されたと言う事である!


 少年に向き直れば、バックステップと同時に翼を羽ばたかせる事により大きく後退すると、翼を腕に収納するようにして畳み、壁に立てかけられてたり吊られていた大剣を各々の腕で握りしめていく。そして準備運動をするかのように大剣をその太い腕で数度振り回すと、こちらを正面から睨みつけた。


「おまえ等は逃がさん! それと変態野郎、特にキサマは痛ぶった後に生きたまま手足から喰らってやるからな! 」


 その言葉を聞いたMキラーは、剣を構えながら「はぁ〜」と盛大にため息を吐いた。


「オレっていつも変な奴にモテモテなんだよな」

「そんなん言ってる場合じゃないでしょ! 」

「おい、二人とも来るぞ! 」


 赤黒い少年、いや複合生物キメラがこちらに向け地を蹴ると、巨体を揺らし広場全体も揺らしながら猛突進を開始した。

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