熱気に包まれしゼド7 ★
二重で魔法を使用したため身体ごと斜に上昇する中、塔を見つけ壁に足を付ける事によりブレーキをかけようとしたが、あまりの勢いのため三歩目には足場となる壁がなくなり空へと飛び出した。
まぁ何もしないよりはマシだったかな。
そしてシグナの身体は熱風が吹き荒れる中落下を開始した。
眼下を見やれば、クロムが巨人兵から距離を取りつつ呪文の詠唱に入っている。
クロムの事だ、次の解除魔法でキメるつもりだろう。
しかし参った。
魔道士を倒すのに魔力を使い過ぎた。そしてクロムも次の攻撃で限界近くになるだろう。
しかし敵はまだ存在する。
その残る敵もこいつらみたいに一筋縄でいかない奴ならば……、状況に応じて時間稼ぎをするか、クロムを引き摺ってでも街を離れるのかを選択しなければならない。
しかしあの巨人兵が魔宝石で化け物になった人間だったなら、奴が魔宝石を使う瞬間に併せ能力を奪えるのだが。
……いや、上手く奪えても使うと身体が大きくなる、とかだったらイヤだな。
上空を漂う黒布から剥がれるようにして魔道士の体が地面に落ち始めた頃、避けに専念していたクロムが両手に各々持つ剣を握り直すと、巨人兵へ向け駆け出した。
迎え討つ巨人兵は両足を踏ん張ると、超超巨大剣を振る体勢に入る。 そして剣を持つ腕が異常に盛り上がることにより防具も無理矢理ベコベコと盛り上がった。
そんな必殺の一撃を放ちそうな状態で待ち構える巨人兵は、クロムが間合いに入ると同時に轟音と共に横薙ぎに振り抜いた。
その一振りが通り過ぎた場所は爆風が起き、吹き飛ばされた瓦礫が周辺の建物に多くの傷跡を残し、また炎をいっときの間だけ消し飛ばした。
そして勝負が決まった。
地面から生えた特大の氷の剣、氷結系高等魔法の二重掛けが巨人兵の股間に突き刺さり、そのまま体内を通り兜を押し上げながら頭から飛び出していたのだ。
串刺しである。
そして多くの空気を得る事となった周辺の炎達が息を吹き返し更に勢いを増す中、地面を転がりまくっていたクロムはボロボロになりながらも立ち上がった。
大丈夫なのか?
シグナはクロムの隣に降り立つと声をかけ、そこで彼が頭から血を流し右腕が折れている事に気がつく。
そこでクロムに肩を貸すと、文句を一言も言わずに体重を預けて来た。




