これならどうかな?
◆ ◆ ◆
バーレスが手を顎に当て、品定めをするようかのようにこちらを見ています。
「掘り出し物だな」
「……それは、どういう意味ですか? 」
意味不明な発言を問うと、バーレスが唐突に吹き出して笑います。
「いやなに。それよりたしかレギザイールに、パラディンと言う目立つ出で立ちの変わり者がいると聞いた事があるのだが、もしかしてお前がそのパラディンなのか? 」
「えぇ、そうですが」
「そうか、しかしここまでやるとは正直思わなかったぞ。あと噂なんて、あてにならないものだな」
「貴方に褒められても、嬉しくともなんともないです」
互いに手に持った剣の切っ先を向け合い対峙しています。
「フッ、嫌われてしまったか」
「当然です、私と貴方は敵同士なのですから」
「まぁ良かろう。しかし防ぐだけでは私には勝てないぞ? お前にこの飛ぶ斬撃を掻い潜りここまで来ることは出来るかな? 」
挑発的な物言い。
しかしおかしいですね。あの剣は明らかに魔具、即ち発動させるには魔力を消費させないといけませんが、既に魔力容量が60は超えている計算になります。このまま指を咥えて待っていても、永遠に攻撃がやまない気がしますし。
そうだとすると、たしかにこのままでは勝てませんがーー。
「私は先ほど貴方に負けないと言いましたが、勝つとも言ってはいません」
挑発には乗らず、いつものペースで返します。その言葉に眉をひそめるバーレスに対し話を続けます。
「私は時間を稼げればそれで良い。そうすればレギザイール軍が応援に駆けつけてくれるはずですからね。それに危険な貴方を私一人で抑えられるのであれば、それに越した事はないのです。よって私からあなたに攻撃をしかける必要性が、そんなになかったりします」
「なるほど、そんな考え方もあるのか。しかしもともと援軍のレギザ狩りも予定に入っていたのだが……、黙っていれば上手く時間を稼げたかもしれないのに、それをわざわざ教えると言うことは、他に狙いでもあるのか? 」
バーレスの問いに、構えたまま無言を貫きます。
すると嬉々としたオーラがバーレスから漏れ出し始めます。
「まあ良い! その誘い、敢えて乗ってやろうではないか」
バーレスは細剣を振り風の刃を飛ばしながら、間合いを詰めてきます。そして私との距離が近づくと、細剣を鞘に収めます。
「魔剣は繊細でな」
「解説どうも」
そして駆けながら両手で黒の大剣を抜きます。
私は剣を覗かせながら盾を構え右足を半歩後ろに下げると、カウンターの型で迎え撃つ姿勢になります。そして連続で繰り出されてくる黒剣を、上手く盾を扱い凌いでいきますがーー。
この力強さ、バーレスの魔力容量が満たされている!?
予想外の攻撃力に体勢を崩されそうになります。そこへ振り下ろされる連撃。しかし私は盾を巧みに扱いなんとか体勢を立て直していきます。
すると何を思ったのか、バーレスはニヤニヤしながら攻撃を止めてしまいました。
私はその隙に、一先ず間合いを取ること。
「ほぉ、これも防ぐか」
「重量系の剣は正直ですからね」
剣は重ければ重いほど、途中で軌道を変えることが難しい。
私はバーレスのちょっとした筋肉の動きを観察する事により予測をし、上手く攻撃を受け流していました。
「ではこれならどうかな? 」
バーレスは一度収めた魔剣をスラリと左手一本で抜くと、二刀流の構えをとり攻撃を再開しました。今までの黒の大剣の攻撃をベースに、左手に持つ魔剣からの近接で放たれる風の刃が加わり、手数が段違いに増えます。その流れるような連撃が集中豪雨のように激しく。
隙がありません!
そこで私は本日3度目の第三の瞳を開くと、それ等の降り続ける雨のような攻撃を防いでいきます。
しかしこれは防ぐだけで精一杯になってしまい、完全に亀となってしまっています。
こうなったらお互いの根比べとなります。集中力が切れ方が、もしくは息が切れたほうが負けです。




