表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
228/316

久々に呪文が登場します!

 蜘蛛が何かボソッと呟き、トロが頷いた。

 そしてトロが漆黒の斑点が散りばめられた紫色の長弓と矢を持つ両手を真上に掲げると、息を吐き出しながら布男に狙いを定めて構える。

 そしてドリルと交戦中の布男目掛けて放った。

 タイミングを見計らって放たれた鋼鉄製の矢は、振り回している大木をすり抜けると布男の右頭部へと迫る。

 が布男は、前の矢と同様に一瞬にして黒布を引っ張り咄嗟に避けた。

 しかしーー。

 布男の体がビクンっと一度大きく震えると、そのまま動きが固まった。そして腕に括り付けられていた黒布が緩み大木がドンっと地面へと落ちた。


「……命中」


 そんな布男を見て、蜘蛛がニヤリと笑みを作る。そう、蜘蛛が放った魔弾が布男の左頭部に深々と突き刺さっていたのだ。


 上から見ていたので丸わかりであったんだけど、先程トロが矢を放った直後、トロと呼吸を同調させていた蜘蛛が直ぐさま矢を放っていた。その矢はトロの矢のすぐ後を、布男からは死角になるよう追随して飛ぶ。そして蜘蛛は、布男がトロの矢を避ける場所を予測しており、急激に軌道を変え、そこに布男の頭もやってきて命中した、と言うわけなのだが……。

 そこまで予測射ちって出来るもんなの!? さらりと神業やっちゃってますよ!


 膝から崩れ落ちる布男であったが、男に巻きついた黒布がワサワサと活発に動き出したかと思えば、地面へと伸びた布で直接体を支え頭に矢が刺さった状態で黒布が差し込まれていき、ついには布男が下品な笑いをあげ始めた。

 そして落とした大木に伸びる黒布、であったがドリルがその隙を逃さず、鋭い蹴りで遠くに蹴り飛ばし、そのままの脚で布男に迫る。

 布男は笑い声を上げているが、両腕をだらんと下ろしたままで、反撃は黒布のみ。

 ドリルはその攻撃を次々に躱していくと、力を込めた強烈な右ストレートを男の顔面にお見舞いした。

 その威力で後方に飛ばされた布男は、マントのように広がる黒布の動きにより、そのまま上空へと飛びあがった。


「ドリル、一旦戻って! 」


 ドリルは私の指示に従い深追いはせず、上空の布男から視線を外すことなく連続バックステップで戻ってきた。


「弱点……違う? 」


 戻ってきたドリルの横で、蜘蛛は少し寂しそうにしている。

 しかしそうだとするとーー。


「あの布事態を倒さないと駄目って事になるわけで、めんどくさ」

「つまりミケ姉の火矢で、燃やさないといけないって事ですよね? 」

「そ〜なるわけなんだよ〜」


 ガタイが良いため最初よりは遅いけど、布男は空を飛び回り始めている。

 と言うか、私の火矢で倒そうと思っても、油かなんかをあいつにかけた状態にしとかないと、例え当てても火力不足で倒せる気が全然しないんですけど。


「もっ、燃やす、でしたら、ボクに任せて貰えませんか! 」


 緊張しながら発言するドリルだが、その力を込めた両の拳が、薄っすらと赤味を帯びていく。

 ってまさか!


「温泉の時から気になってたんだけど、それってもしかして、炎属性だったりするわけ!? 」

「いえ、今は違います」


 そうだよね、……って今《・》は《・》!?


「ただし力を最大限解放すればーー」


 そう言うと静かに両目を閉じるドリル。そして呪文の詠唱に入った。


「世界を闇へと先導し、破滅を撒き散らす孤高なるレッドティアーズよ! 僕の血と肉と、そして魂と引き換えに、そのたぎる血に宿いし滅びの業火をこの身に与えよ! 」


 なにその呪文?

 レッドティアーズ?

 それに初めて聞く言葉の羅列ばっかなんですけど!?

 そしてドリルが、ゆっくり両目を開いた。すると右目だけだが、眼球の黒目が真っ赤に輝いていた。そう、それはまるで太陽。しかも白目部分には、太陽フレアのような赤くて細いものが、元は黒目である赤目部分から弧を描くようにして出ては消えていっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ