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覗き猫ミケ

 黒騎士がレイピアのような細く槍のように長い、片刃の極細剣を掲げた。


「イールの騎士、こいつは魔剣カマサキと言うんだが、この町にいたレギザの兵隊達は、不甲斐なさすぎるぞ。なんとこれ一本で全滅してしまったのだ。一体どういう事なんだろうな?」

「…………」

「黙ってないで何か言ったらどうだ? 」


 挑発的な態度の黒騎士。

 イールの騎士はその言葉を右から左へと聞き流しているようだ。そして無言のまま、鉄の塊のような分厚い大剣を持ち上げ構える。


「そんなことはどうでもいい。そろそろ始めるぞ」

「……ガッカリさせるでないぞ」


 黒騎士は半身になり腰を落とすと、その片刃の剣を握る左手で魔刀カマサキを鋭く振っていく。

 すると闇の中を研ぎ澄まされた風の音が複数、イールの騎士へと迫る。

 イールの騎士は足元の地面に大剣をぶっ刺すと、自身の方に少し傾け即席の盾を作りあげた。

 音がイールの騎士を通り過ぎていくと、大剣からはみ出ていた鎧や足を少し切り裂いていく。

 ……あれは風の刃! 四年前のストームも、たしかあれと似たような攻撃をやっていた。いや、ストームは一度発生させてから飛ばしていたためタイムラグが生じていたけど、あの魔剣は振ると同時に風が飛んでいっている。厄介なのはこちらのようだけど……。


「飛ぶ刃か」

「はっはっは、さあどうする? このまま何もせずに逝ってしまうか? 」

「……切り傷程度で喜ぶとは、お前もたかがしれているな」


 風の刃が飛来する中、イールの騎士は前方に走り出す。

 そう、イールの騎士の行動は正しい。あの魔剣はようは魔具、即ち魔力が尽きるまで躱し、その後攻撃すれば魔力容量が満たされていない黒騎士が待っているのだ。

 あのイールの騎士の動き、魔力切れは狙っていないみたいだけど。

 迎え撃つ黒騎士は、魔剣カマサキの振るスピードを上げる。

 迫る風の刃を時には大剣で、時には並ぶ墓石を盾にし、ジグザグに走るイールの騎士。確実に間合いを詰めて行っている。

 そして二人の距離が目と鼻の先にまで縮まったとき、黒騎士は距離をとるために数度バックステップをしながら背に背負った黒の大剣を、空いている右手一本で抜いた。


「二刀流か」

「そう言う使い方もあるが、……とっておきを見せてやろう」


 黒騎士は足を距離を取りながら右手の黒剣の柄辺りに、左手で持つ魔剣カマサキを切っ先から差し込み、なんと黒剣の中に収めてしまった。

 長さ的にあの極細剣がとぐろ巻きのように入ったのかな?

 そして黒騎士は脚を止める。


「楽しませてくれよ」


 イールの騎士に向けて振った黒の大剣が、月明かりで怪しく輝いた。

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