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陣形2

「なんだこいつら、気持ちわりー! 」

「そんな問題では無いだろうが! 」


 ガオウさんの発言に、ジリウスさんがツッコミを入れます。

 しかしこの兵士達、明らかに可笑しいです。痛みを感じていないのでしょうか?

 それといくら陣形を組んで防御力を上げているとは言え、このままでは囲まれてしまい危険です。

 その時、右から回り込んでいた二人が戦いに加わろうと突っ込んで来ます。そこでジリウスさんがーー。


「ガオウ、C盾攻撃シーバッシュ! 」

「うぃっす! 」


 ジリウスさんの呼びかけにガオウさんがすかさず応じ、二人は強く握り締めた盾に体重を乗せると、兵士達の斬り付けを受けたのを合図に、力のかぎり前方に押し出しました。繰り出した攻撃を盾で弾かれたうえ、そのまま体当たりを受け体勢を崩す二人の兵士。

 そこへガオウさんは大きく踏み込むと腕を最大限に伸ばし、なんとか鎧と兜の間である首筋へ、なかば強引に剣を差し込みました。ジリウスさんのほうは隊列を崩さないように最小限の踏み込みに留まり、もう一人の剣を持つ手首を狙い一振り、そして飛び散る鮮血。

 二人とも考えましたね。

 私と交戦している者もそうですが、相手は痛みを感じにくい狂戦士達。その者達を相手にするのならば、即死を狙うか、攻撃の手段を刈り取るか、が有効でしょう。


「よしゃー! 」


 兵士を倒したガオウさんが、返り血を浴びながら剣を持つ手でガッツポーズをし、高らかに声を張り上げています。

 そこへ、首を深く裂かれた兵士がもたれかかる様にして、ガオウさんのほうへと進んで来ています。


「ガオウ! 」

「うおっと! 」


 そしてなんと、その兵士は剣を持つ手をだらりと垂らしていたかと思うと、ガオウさんのほうへ伸し突きを出してきました。ガオウさんを見据えながら口角を上げて。

 ガオウさんはその攻撃をなんとか盾で防いだ後、ジリウスさんと共に隊列に戻ります。


「イッ、イタチの最後っ屁か」


 しかし崩れ落ちると思った兵士は、二本の足でしっかりと身体を支え、ゆっくりとですが依然として剣を構えたまま間合いを詰めて来ています。


「おいおい、不死身なのかよ!? 」


 ガオウさんが言うようにこの者達、ただ単に薬などで痛みを消しているわけでは無さそうです。


「だー! 」


 マリモンが相対する者の太腿へ突きを繰り出し始めていますが、兵士は全く避ける動作を見せず攻撃に併せるよう、マリモンの剣を持つ手首を狙って振っています!

 相打ち覚悟の攻撃!


「むむむっ! 」


 割り込んで伸ばした私の剣が、なんとかその者の剣を寸前のところで受け止めます。


「隊長、すみませんっす! 」

「危なかったですね」


 しかしこの兵士達のその動きに、どこか違和を感じ始めてもいます。

 とそこで、なんの脈略もなく突然地響きが遠くから聞こえて来ます。

 なんだなんだ、とガオウさんが驚きの声をあげます。

 よく見れば、街道から唯一見えていたバラガの町の高い建造物が、地面を揺らして崩れ落ち始めました。


「派手にやってるな」


 正面後方に控える勲章兵の何気ない呟き。

 それを元に考えを巡らせるに、どうやら街でも闘いが行われているようですね。そしてあの場にいるのが、ミケさん達の可能性ではない、と言い切れません。

 うーむ、……急いだほうが良さそうです。

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