【プロローグ】 カタストロフィー
勇者カザンが亡くなってから4年。
悪い星の巡り合わせなのか、その年はこの星に住まう人々にとって最凶の年となる。
その始まりとして記録が残る魔竜の中で最強とされる、灼熱赤竜が再び現れる。19年前と同じように次々と街々を火の海へと変える魔竜。
レギザイール軍は被害を最小で食い止めるために特務部隊、第ニ、第三、第四師団から成る混成部隊を投入。
その甲斐あって魔竜を討伐するも、戦死者400名、負傷者千名、と言う大打撃を受けてしまう。
しかしこの数字は当時のレギザイール国が出した虚偽の数字であり、本来はこの倍の被害の兵の死傷者数、灼熱赤竜にトドメを刺したとされる1人のレギザイール兵が全身に火傷を負う重症、そして特務部隊に所属していた5名全員が死亡した事が後の世で明らかになる。
そしてレギザイール王国は特務部隊を失ってしまったため、早急に新たな象徴である隊員、勇者を選定する必要に迫られた。
そこで即席のメンバーとしてその年の大国民記念祭で開催された大陸剣闘士大会覇者である破壊僧、問題児でメグミ=アスロードの再来と謳われる天才魔法使い、当時から希少である解除魔法の使い手、そして灼熱赤竜のトドメを刺したとされるレギザイール兵の4名を特務部隊所属とした。
国民を不安にさせない象徴、話題作りのお飾りとして急遽選ばれた彼等ではあったが、この最凶の一年を研究する識者の中には彼等の働きを評価する者も多い。
しかし先に述べた灼熱赤竜の件自体は、この最凶の年の中では取るに足らない小さな事象であると広く認識されている。




