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勝者は倒れる

 これが逆の立ち位置、現時点でユアンを壁際に追い詰められていたなら、もしかしてが起こっていたのかもしれない。

 しかしこの事実がーー、壁際まで追い詰めれなかったこの差が、シャルルとユアンの実力差なのだ。

 そして褒めるべきだろう、あのユアンと僅かではなるがここまで互角に渡り合ったシャルルを。


 先程から肩で息をしているシャルル。

 あれからさらに三回、計十一回もの電撃を使用したのだから仕方がない。魔力も尽きたであろうし、疲労もピークに達しているはずだ。

 しかしシャルルの魔力容量が二十二あるということが驚きである。修行もなにもしていないであろう状態で魔力容量がそこまであるのであれば、本当に意外であるが魔法使いの素質があるという事に他ならない。

 シャルルは剣士よりも魔法使いに向いている。しかしこの事実は、いまは何の意味もなさない。


 その時シャルルの剣から光と電撃音が放たれた。

 この攻撃もユアンに防がれてしまったが、驚く事にシャルルが攻撃時にまた電撃を使用したのである。

 これで魔力容量が二十四ある事が判明したのだが、ーーシャルルは一体何者なんだ。


 しかし今度こそ絶体絶命のピンチ!


 ……いや確かにそうなんだが、そうではない。

 絶対絶命であることに変わりないが、期待してしまっている。このシャルルなら土壇場で何かを起こしてくれるのかもと。もちろん根拠なんてものはないが。

 とにかく、頑張れシャルル!


 シャルルは疲労がさらに増しており、前傾姿勢で何とか剣を持ち上げているといった状態である。

 しかもその姿勢のため顔の上半分が前髪で隠れているために、余計疲れて見える。それでもなおその瞳は、しっかりとユアンを捉え続けているようだが。


 そこで動いたのはユアン。

 力強い踏み込みと共に剣を振り下ろす!

 シャルルはなんとかそれを防ぐが、その威力に力負けしてついに片膝をついてしまう。

 そこでユアンの眼光が鋭さを増す!

 防がれた剣を流れる動きで引き寄せると、剣の切っ先をシャルルへと向け狙いを定めた!


 不味い、あの体勢はユアンの必殺の構え!

 魔力を消費したシャルルでは防ぐどころか、出来て軌道を少し反らす事ぐらいか?

 あのユアンだから、当たる寸前に力を弱めるだろうが、それでも体の何処かに触れてしまうと言うことは電撃を受けてしまうと言うこと。

 この決闘の幕を閉じるであろう一撃を、今ユアンが放とうとしている!


 光の加減か、ユアンの鋭い眼光が一瞬薄ら寒い青紫色の輝きを見せた気がする。

 そして動く!

 ユアンの剣が最短距離を突き進み出した。

 疲労困憊であるシャルルはなんとか剣を出した! あれを防ごうとしているのだろうが。

 そして重なり合う剣と剣!

 瞬間、チリリっと火花が上がった!

 ユアンの体重を乗せた必殺の突きは微動だにしない。

 代わってシャルルの剣は、触れているところが削られていく!

 強撃がシャルルへ向かい突き進む!

 そして止めと言わないばかりに、ユアンの剣が電撃の力強い音と共に閃光を放った。


『バリィバリッ! 』


 次の瞬間、激しい衝撃と共に起こった、今まで聞いた事のない程の特大の電撃音が鳴り響く。


 そして目を疑う!

 ユアンの攻撃はシャルルを捉えなかった。

 その代わりに、驚く事に防戦一方であったシャルルの横薙ぎが、ユアンの胴に決まっていたのだ。


 ユアンは堪らず苦痛の表情とうめき声を漏らし、よろけて数歩後退。

 それを見たシャルルは、拳を上空に突き上げると、「かったどー」と雄叫びののち仰向けにドサっと倒れ込んだ。

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