表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
164/316

圧縮の死者

『チリーーン』


 鈴が鳴り、軽く身体中が締め付けられる感覚に襲われる中、その空気を振動させる音のエネルギーが波紋となって広がっているのが見えた。


 あの鈴に何かしらの力が込められているのは間違いないようだ。

 攻撃するならば、あの鈴が鳴り、次に鈴が鳴るまでの一瞬。

 失敗すれば、こちらが殺されてしまう。

 次に鈴の音が鳴った直後が勝負だ。

 暗闇の中、全神経を耳と目の前にいる死者の手元へと集中させる。


『チリーーン』


 今だ!

 まだ鈴の余韻が残る中、身体を沈めリミッターを外し、力の限りに地を踏みしめる。

 肩に大剣をからった体勢で前につんのめり、風と一体となり死者との間合いを瞬き程の刹那で詰める。

 振り下ろすのだ、最速の剣を!

 狙うは鈴を持つ腕!


 その時、瞳が捉える。死者の鈴を持つ手が止まらず、さらに動いている事に。

 連続で鳴らせる? 騙されたのか!?

 しかし今更攻撃を止められない、ーーこのまま突き進むしかない!


『チリーーン』


 大剣を振り下ろす最中、強い締め付けが全身を襲う。体が全方位から押し潰される感覚に襲われ、更にプチッっと音がし右手の親指と人差し指に激痛が走った。

 構わず大剣で死者の鈴を持つ腕を切り落とし、返す刃で死者の体を斬りつけ体を斜めへ真っ二つにした。

 ずるりと上半身が地面に滑り落ち、死者はその場で痙攣するようにピクピク動くのみで、起き上がろうとしない。

 倒せたか。

 念のため落ちた鈴を大剣で破壊する。


 そして激痛が走った指を確認すると、二本とも完全に磨り潰されてしまっていた。

 これで両手共まともに剣を握れなくなってしまった。急いでズボンを裂き右手と大剣をそれでグルグルに巻きつけ固定する。


 結果痛手を負ってしまったが、しかし収穫もあった。あの鈴が影響を及ぼす範囲がざっとだがわかった。

 全身を襲う範囲こそ広いが、致命傷となりそうなそれは、剣の間合いと等しい。

 その時ーー。


「うふふふふふふふ」


 闇に女の笑い声が木霊した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ