待ちかねたぞ!
折り返しとなるチェックポイントであるゲートを括る。
観戦のために集まっているニンゲン達の騒ぎようから、まず一位通過であることは間違いないようだ。
さて、どうするか?
このまま行きと同じように湿地帯を通ろうとすれば、かなりの高確率でヌヌーの奴が報復に来るだろう。しかし平原コースから行ったとしても、優勝の確率はまだまだ低い。つまり勝利のためには、戻りも湿地帯を通る必要があるという事だ。
……ここは手札が揃うまで体力回復と行くか。
先ほど抜いたばかりのガトードラゴンの奴が追いつき、ゲートを潜って行く。平原コースの方からは、巻貝角と流星の姿も見え出した。
ここは気持ちを落ち着かせ、そして体力回復に務めるのだ。手頃な草があったのでそれらを咀嚼して行く。
ワシの後に続いて、二位でゲートを通過したサーベルユニコーンの奴も、このまま湿地帯に戻るのは危険だと理解しているようだが、ワシの真似をしてこの場で特に何もせずに待つことに対して、かなりイライラしているようである。
まだまだ若いな。
そして巻貝角と流星がゲートを潜るちょうどその時、湿地帯方面からお目当ての奴が来た。
思ったより早い到着に口の端が自然と釣り上がる。
首をコキコキと左右に曲げこれからの走りが最善で行える準備を行う。体力もいい具合で回復しているようだ。
「武武部不不、武武不不付付?」
巻貝角と流星が折り返し平原へと戻る中、遅れて来たアーマーホースの奴が侮蔑した態度でこちらに声を掛けてきた。
「部部普部普普府府?」
冗談で返すとアーマーホースは吹き出し、やれやれと言ったのち問いてきた。
「武武部不不火日日異異異院?」
「不部部」
「武武部不不付付」
そしてアーマーホースに追走しだすと、サーベルユニコーンも後を駆け出した。
ほぉ、よく見るとスライムの小僧の姿も見える。まぁ、あれも囮くらいには使えるかもしれん。
さて、ヌヌーが待つ湿地帯コースへと行くとするか。




