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実況はわたくし、カミパミキョクがお送りいたします!

 青空の下、乾いた音と共に幾つもの花火が上空へと上がる。


 ヒナイールの街は、今日という日を楽しみにした人達で溢れかえっていた。

 今になって知ったのだが、この地区は前年覇者のパッカラがいるそうで、他の地区と違い本戦出場枠が二つも用意されているらしい。またこの地区はパッカラ激戦区と言われる場所らしく、毎回本戦同様の熱いレースが繰り広げられるため、通な観客は勿論、多くのパッカラファン達がこの街に足を運ぶそうだ。


 もしかして5位でも、かなり難しいのではないのか?

 いや、あのスライムは出来るスライムだ!

 ……そう、……スライムなんだよな。


 シグナはパッカラ警護の持ち場へ移動する前に、シャルルに一声かけようと会場の裏側を目指す。そしてシャルルとサーニャルがほとばしる程の異彩を辺りに撒き散らしていたため容易に見つける事が出来た。

 皆がパッカラに蔵を付けたり餌となる草を食べさせている中、シャルルはスライムのサーニャルにレース中の燃料となるコロキノを食べさせ、ドワーフのドコユキフが燃料消費が多いサーニャルのために、予備のコロキノを座席代わりの籠に大量に取り付け作業を行っていた。

 ゆっ、勇気が足りない。今あそこに行くと言う事は、仲間である事がばれてしまうと言う事である。

 なんて冗談は置いといてーー。


「無理だけはすんなよー」


 声を掛けるとシャルルは親指を立てて見せた。

 そこでラッパの音と共に、場内アナウンスが流れ出す。


『皆様、ついにやって参りました!

  四年に一度の祭典、パッカラレース。乗り物である動物からの妨害なら全て許されてしまうという、パッカラ達にとっては何でも有りの危険なレース。

 わたくし王都で行われる本戦も実況をさせて頂く業界のお節介焼き、カミパミキョクがお送りいたします。因みにこの実況業界に入りたい方は、わたくしの名前の早口言葉を十回言えるようになってから挑戦しに来て下さい。

 では早速この予選レースのコース紹介に移らさせて頂きます。皆さん、会場に設置されている、こちらの壁をご覧ください。この水晶の映像を拡大して映し出している映像を交えて解説をさせて頂きます。

 レースが始まれば、このヒナイールからスタートした各馬が道なき道を北上し、隣り街のハンヌマイールに設けられたチェックポイントであるゲートを潜り、再びこのヒナイールに戻ってくるタイムを競い合います。

 また翼を持つものはその翼を羽ばたかせない滑空のみ許可されているため、場所によっては大幅なショートカットも可能となっており、そして皆さんもご存知の通り、今回運悪くワイバーンの群れがコース上に現れる可能性があるようです。最新の情報ではハンヌマイールの西側に位置する山で休憩をとっているようで、そろそろ飛び立つかもしれないとのことです。

 これがレースにどう影響をもたらすのか、一波乱も二波乱も起こりそうな今回のレース。皆さんの期待を裏切らない素晴らしい戦いが繰り広げられることと思われます。

 それではスタート前の様子を、現場のパミュパミュちゃんにバトンします、よろしくー!』

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