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止まる世界

 シャルル達は無事なのか? 顔が動かせなければ、声も出せない。

 そう言えば先程から呼吸すらしていない、でも苦しくない。何なんだ、本当に世界が終わって……いや、人は死んでしまうとこういう風になってしまうのか?


 その時、足音が聞こえた。その一歩一歩ゆっくりと歩く音が、この静まり返った世界にただ一つの音として響いている。

 視界の外からではあるが、たしかにこちらに近づいてきている。


「私の演技はどうだったかしら?」


 そう言うと、フフフフッと続けて女性の笑い声が聞こえた。


「でも流石ね、こうも簡単に全ての壁を破壊してくれるとは。呼び寄せた甲斐があったわ」


 なおも足音が続く。


「エリーさん、これは……どういうことなんですか?」


 その時、シャルルが疑問を投げかける声が聞こえた。

 シャルルは声が出せるのか? それにエリーさんだと!?


「やっぱり……貴女は動けるようね」


 そして歩く者の姿が視界に入った。たしかにエリーさんだ!

 エリーさんはカザンとガレリンの方に向かってなおも歩みを進める。


「ただ無理に動かないほうがいいわ、貴女の魔力でも身体に負担がかかりすぎるから。それとこれは頂いていくわよ」


 エリーさんはガレリンが叩きつけた赤騎士の所までいくと、屈んで赤騎士の兜に浮かんでいる血を流す蒼い瞳に指を突き立てる。そして抉るようにして兜から蒼の宝石、魔宝石を奪い取った。


「フフフフフッ、フフフフフフフフッ」


 エリーさんは魔宝石を片手に、笑い声を上げる。そして笑い声と共に全身を炎とも光ともいえないものが包んでいき、それが消えると装いが全く変わってしまっていた。冒険者風だったものが、魔道士のそれに。

 そして聞いた事のない呪文の詠唱を始めたかと思うと、魔宝石を持っている手が光を放ちだし暫くすると光が集束したのち輝きを失った。

 何をしたのだ?


「私はこう見えて、今とても上機嫌なの。そうだわ、貴方達にお礼をしなくちゃ」


 そう言うと赤ドレスに微笑みかける。


「死をあげるわ」


 そう言うと呪文の詠唱に取り掛かるエリーさん。


「黄金の道を進みし騎士の分身よ、汝の生死を司る祝福と破滅の光をーー」


 あれは星の魔法の一つで、たしか熟練の魔道士2人でやっと発動する魔法のはず。

 それにこの世界の全てを止めているのも魔法なのか? エリーさんは一体何者なんだ?


 赤ドレスに向けて突き出した手に光が収束していく。その手に集まった眩い光が今にも弾けそうなほど膨張していく。

 その時、赤ドレスの周囲に無数の闇が出来ると、それらが結合して一つの巨大な闇へと変わる。

 赤ドレスも動ける!?


「光輝表裏王者《シャイニング

 レザーリバース》」


 エリーさんの手から、幾重もの光の束が絡み合った、破滅の魔法が解き放たれた。

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