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再会しました、やったね♪

「シグー」


 歌が聞こえる中、一階が見下ろせる吹き抜けの所まで行くと、こちらに気付いたシャルルが手を振りながら声を張り上げた。片手を上げてそれに応えると階段を下りて行く。

 一階の至るところに、動かなくなっているトランプ達の姿が目につく。どうやら襲撃にあっていたようだ。


 ローザさんが赤騎士との戦いで傷ついたカザンに気付き、走り寄ってくる。


「カザンさん、大丈夫ですか?」

「あぁ、かすり傷程度だ」

「悪い菌が入るといけないので」


 そう言うとローザさんは胸の前で両手を握りしめ目を閉じる、所謂神に祈るポーズになる。


「星に生まれし慈愛の姫よ、汝の草木が踊る天に届きし祝福の歌をーー」


 呪文の詠唱が終わったローザさんの手を、薄っすらと暖かな淡い光が包み込む。そしてその手をカザンの腕や横腹にある傷口にかざしていくと、見る見るうちに傷口が塞がっていった。


「すまないな」

「私にはこれぐらいしか出来ませんから」


 ローザさん、外見とは裏腹に中身は天使さんです。


 さて、これからどうするかだが。

 シグナは一人離れて辺りの警戒を行いながら思考を巡らす。

 ここを抜け出すには赤騎士ではなく、もう1つの魔宝石でこの世界を作り出している奴を見つけ出して倒す必要がある。しかしどこにいるのか検討もつかない。


「うぉっ!」


 突然背後から気配を絶って近付いて来ていたシャルルに体当たりを受けてしまった。そしてシャルルはまるで子犬のように飛び跳ねながら身振り手振りで訴えてくる。


「シグ、怖かったよ! 腕がこう沢山出てるなんか凄い奴がいたんだ。近付いて来たから攻撃したんだよ。そしたら腕がこうブワーと増えたんだ」


 うわっ、それは考えただけで気色が悪い。


「それは恐ろしかっただろう、よしよししてあげよう」


 頭を撫でようとすると、魔具の黒球で手を払われてしまった。

 クロムといい、なんか酷いです。


「あとあのトランプ、意味がわからないよ。ファックユーだよ」

「女の子がそんなはしたない言葉を口にしてはいけません」

「しかも一丁前に血が赤いし、夢に見そうだよ」

「シャルル、ここは作られた世界だ。あの血にみえる物も本物ではない、例えるならトマトみたいなものなのだから気にするな」

「わゎゎゎ、わかった。これから八つ裂きにする時はトマトをイメージしてみる」

「と言うか八つ裂きにしてたんだ」

「主にガレリンのおっちゃんが」

「人のせいにした!」

「いや、でもほんとあのおっちゃん無双してたから。ただのハゲじゃないよ」

「まぁ、巷ではカザンと同等クラスの強さって噂だからな」


 そんないつものやり取りをしている最中、エリーさんがこちらをジッと見つめている事に気付く。

 しまった、旦那さんの安否が定かでないため気が気でない彼女の前で、いつもの軽いノリを見せてしまった。反対の立場ならシグナも気分を害して怒って当然の場面である。

 エリーさんに向かい謝罪の意味で頭を下げると、プイと背中を向けられてしまった。

 完全に怒らせてしまったようだ。

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