表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

即興小説トレーニング

ある現代吸血鬼の希望

作者: かふぇいん

徘徊と言われると、強く否定できないのが悲しいところだ。


吸血鬼の辛さは日中出歩けないことにある。

仲間のうちでは、昔のように人を襲わなくてもよくなったから幸せだという奴もいるし、コンビニも24時間営業だから便利だという奴もいる。


長生きするもんだ、と20代かそこらの顔で、友人は言う。


たしかに、数百年前にもっと西洋人らしい面立ちでこの国に来た時は、刀を振りまわしていた人々が個人の電話を持って歩くなんて思いもしなかった。

テレパシーを遣わなくていいのは、確かに便利だけれど。


俺には夢があるのだ。そのためにはどうしても、日光の下を歩く必要があった。平然と。


一度でいいから、食パンをくわえた登校中のセーラー服少女と、曲がり角のところで運命的な出会いをしたいのだ。

今、もし無理をして朝日の下に出たところで、黒い長そで長ズボンに、サングラスとマスクと帽子をかぶっていなければならないし、それを取ったら灰になってしまう。

ぶつかった人間が黒ずくめだったら、「どこ見てんのよ!」の間もなく通報されてしまうし、職質されてマスクを取ったら、警官の前に灰の山が出来てしまう。


夢がかなうどころか、命の危機だ。


でも、俺はどうしてもその夢をかなえたいのだ。

だから、これを見ている誰か、できれば10代の見た目と心に自信のある少女の君。

22時台あたりに、食パンをくわえて近くの十字路で待機していて貰えないだろうか。


絶対にぶつかるから。


一応言っておくが、見た目は悪くないし、長生きしたぶん金もある。

それに恋人になってくれれば、その若さと美貌を保てるようになる。


悪い話じゃないと思う。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ