5,逃走[1]
エアコンです。
最初は土台を作るのに必死で投稿が速いです。
………異世界生活2日目の朝だ。 部屋に設置されている時計は8時を指している。
そしてノックが鳴り止まない。恐らくこのノックによって俺は起こされた。
「はいはい誰ですか〜」
「昨日の者です。部屋に入れて貰えませんか〜」
という訳で昨日の女性が今俺の部屋のイスに腰掛けている。
「で、何で俺の部屋に押し入って来たんだ?」
「何それっ強引に入ったみたいじゃない!」
「実際強引だったぞ」
ふんっ、と向こうを振り向き話した。
「あなた、何か職業やってるの?」
「当ててみろ」
「ペテン師」
失礼な奴だな。
「違う!」
「それじゃあフリーターね!」
尚更失礼な奴だ。
「俺はサモナーだ」
「あら! ビンゴ! 私も私も〜」
「……」
「で、あなたには“サモン”を教えて欲しいの。初心者だから」
「フッ……俺なんかで良ければ……」
「良いわね。あたしアコって言う。準備してくる!」
…………あうぅぅぅぅ…………
やってしまった……頬に滴る水滴。冷や汗が止まらない。
ちょっと、ちょっと格好を付けただけですよ。
サモンの単語を数分前に知った21歳の俺がサモンを教えるだとぉ!?
しょうがない、逃げる。以上。
最善策ですが何か? 宿のチケットをポケットに、ギルドカードを片手に部屋から勢い良く飛び出した。
階段を駆け下り、ロビーを抜ける。宿から出ると、昨日と殆ど変わらない光景が広がっている。
うーむ、どうせいつかバレるんだったら、少しでもサモンについて学ぶか。
……どこで学びましょうか。学校でも行くんでしょうかね? どうしようも無いなぁ……つーかギルドカードに検索機能とか無いのかね?
そんな事調べる間も無く走り続けた。
目的地も考えずにただひたすらに走っていると、本屋を見つける。
【BOOKS】
ぶっくす……この世界の人は英語が分かるのかねぇ。俺がしゃべっているのは日本語のつもりで、違う国の言葉かも知れないが。
取り敢えず身体はこの世界に対応しているらしい。
避難する為にも、サモンの事についてある本の為にもこの本屋へ入るか。
「いらっしゃいませー」
まあまあ広そうだ。入り組んだ造りなのが尚良い。
サモンったって分類も分からない。職業、趣味……ますます分からない。
職業を見ても、向こうの世界で言う、アルバイトやら就職方面か。もう懲り懲りだな。
趣味、か……よーく考えると趣味は召喚をする事です! なんて人居ないだろうしな。
店員さんに聞くか。聞くんだったら美人さ……居ました。私のタイプにストライクです。身長高めで黒髪ロングヘ……自主規制。しかし、意外とそこらじゅうに居る。もしかすると客はこれを求めて……嘘です。
「あの、“サ……」
「サモンについての本ですね、無いです。角を曲がった所の本屋にならあるかも知れませんよ」
「あ、はい」
この人は超能力者でしょうか? それとも俺と赤い糸で結ばれている為、テレパシーが可能なんでしょうか?
本屋を出て十字路に出る。石畳な地面がどこまでも広がっており、街の地形も大きな変化が無いから迷いそうだ。
幸いその本屋は、十字路から見渡せる位置にあった。さっきよりも小さな本屋だ。
【BOOKSS】
Sが更に一つ足されただけのパクリですね。分かります。
ドアを押して入る。そんなにゆっくりする暇は無い。この街に居る限りはいつか必ず捕まるんだ。本を購入したらアコに会いに行こう。と言うか街を歩いてたら見つかるだろうけど。
真っ先に店員さんに聞く。もう美人が……居ねぇ!
「サモナーについての本ってありますか?」
「はぁい」
うわぁ、マイペース。こっちは急いでるんだぞ。
数分待っていると同じ人がやって来た。
「これですねぇ」
ほうほう、【サモナー入門編】、【サモナー中級者】か。
「これだけですか?」
「はい。最近サモナーでも無いのにサモナーについて調べたり、興味を持つ人が多くなってるらしいですよぉ」
「んじゃあ入門編で」
「カウンターでどうぞ」
カウンターまで道を先導された。
「えっと50ベルクですぅ」
あ、金無い。
[用語]
・サモナー◯◯編シリーズ……作中では書かれませんが、サモナー◯◯シリーズはこの世界の全サモナーが持っていると言っても過言では無い程の、ベストセラーシリーズ。特に要所要所にあるコラムのページが大人気でサモナーでは無い人もこれを求めて買う人もいるらしい。
感想待ってます。