4,プロローグ[4]
今回でプロローグ終わりです。
後、用語のコーナーは今回無しです。
……という事で俺は空き部屋の掃除を頼まれた。
1階につき6部屋それが2階分。それに宿主のベルさんの部屋と俺の部屋、そして現在客が入って居る3部屋を除いた7部屋を掃除する。朝になると殆どの者が狩りへ出掛け、客は格段に減るらしい。それにモンスターの凶暴化だかなんだかで夜は狩りの難易度が跳ね上がるらしいし。
じぁあやっていくか。最初は1階の奥から。
ノブを捻るとがちゃ、と鈍い音がした。最近ドアの調子が悪いらしく、鍵が勝手にロックされてしまう事があるらしい。マスターキーを貰ったので開けてみた。するとドアは独りでに開き、姿を現した。
……汚っ! 乱雑に散らかった菓子袋、点きっ放しの電気ここで一体何が……
取り敢えず片付けなければ。持って来たゴミ袋に菓子袋や散らばっていた紙くず、飲み物が入っていたと思われる缶。それらを拾い集めてゴミ袋に放り込む。
瞬く間にゴミ袋が圧迫されて行く。
部屋だけでは無く、風呂場やトイレ掃除もしなくてはならない。
……面倒くせぇぇぇぇぇ……
ああ……最悪だ。ゴミ捨て場の様な部屋だ。掃除する気力も出ないわ……俺はギルドカードと言う名のタブレット端末を靴箱の上に置いてまた掃除を始めた。
……しかしおかしい。次の部屋、その次の部屋もドブの様に汚い部屋。何か秘密があるのかっ
————結局1階の仕事が終わる頃には正午を回っていた。確か6時過ぎからやってたから、4時間も掛かったのか。
ラスト1部屋となる頃には時間は4時過ぎだった。精神的&肉体的疲労ヤバい……
ガチャ、とノブを回すと……開かなかった。
……気を取り直し、マスターキーを使って開ける。
開かない。
これはまさか……引くんだな。ここだけ。
開かない。
じゃあ押せば良い。
開かない。
じゃあ襖みたいに……
開かない。
そうだ! ドアが取り外し可能……
開かない。
「誰か居るんですかぁ〜」
開いた。
「一体あなた何してるの!? 変態じゃないの!?」
「変態ではありません」
「じゃあ誰なのよ!」
「いや、掃除に……」
「そう。失礼失礼。入って良いわ」
良いんだ。俺はズカズカと部屋へ押し入り、掃除を始めた。
「あっ、そこゴミある!」
「本当だ。ありがとう。……ふぅ、もう良いかな」
「あっあそこにも!」
「本当だ……良いかな」
「あそこやってない!」
「はいはい」
「あそこもじゃん!」
「……」
「そこ!」
「……黙っとけッ!」
「ひぇ……」
俺が怒鳴り散らすとベルさんが来る。
「あら、綺麗じゃない」
「疲れた……」
するとベルさんは時計を見て……
「ノルマクリア! 早かったわねぇ。本当はサプライズで3ヶ月分の食事、宿泊券をプレゼントする予定だったけど、1ヶ月分になったわ! 本当におめでとう! じゃ、ここにサインを」
「やった!」
俺は契約書と思われる紙に、サインをした。
「……おい、3ヶ月分が1ヶ月分って……」
「サインしちゃったわね〜」
「(くそくそくそくそッ)」
「なんか言った?」
「いやいや。じゃ、俺もう寝ます」
「おやすみなさーい」
はぁ……