3,プロローグ[3]
プロローグ多いですが、次で終わりです。
それと今回少し短いです。
元々5000字位の話を二つに分けました。すみません。
自分の身分を説明するのに少々時間は掛かったが、情報収集をこなした。
ギルドカードのメモ帳の機能が役立った。手で字を描くだけで無く、キーボードもあった。それに音声認識システムも搭載されている。
もしかすると、技術的な面では地球が負けるかも……まさかな。
あのハゲだなんだ言っていた人も、ギルドカードを見ると態度を改めて色々と教えてくれた。
簡単に要約すると、「この世界には無数のモンスターがうろついている。その為街や村の外は油断をしていると危ない」これだけ。
早速クエストやらやることがありそうだが、もう日が暮れて来た上に肉体的、精神的にもクタクタだ。その上、忘れてる人が居るかも知れないが。1回死んだからという理由もある。
ハッキリ言って今一番大切なのは宿の確保だ。野宿はまず無理だろうな。金は一銭も無いから宿には泊まれないけど、交渉する価値はあるかもしれない。確かギルドの下に宿屋があった筈。
宿へ着く頃には、もう日は沈み、人が少なくなって行った。
「らっしゃい」
宿の中にはおばさんがイスに座って紙幣を数えていた。
「俺、お金が無いんですよ。泊めて貰えたりしますかね?」
「1ベルクも無いのかい?」
“ベルク”というのはお金の単位だ。情報収集の成果が感じられる。
「はい。1ベルクも」
「……はぁ」
おばさんは溜め息をつきながら奥へと入って行った。
しばらくすると、鍵を一つ持って来た。
「アンタには明日1日中働いて貰うよ。くれぐれも戸締まりはしっかり」
そう言ってまた眠そうに紙幣を数え出した。鍵を持って道なりに歩く。自分の想像していた宿と違い、ギルドと同じ建物内だからか内装が似ている。宿と言っても2階層で部屋以外には机とイスが幾つか置かれているラウンジだけのしんみりとした場所だ。俺は2階の一番奥にある部屋、206だ。
電気を点ける。中は思ったより綺麗でベッドにトイレは勿論風呂まで付いているという上出来な部屋だ。窓は方角的になのか分からないが無い。
そしてベッドには怪しい紙が。
【18時〜06時迄の外出は禁じます!】
なんだこれは寮の門限かよ!? そして裏にも何かが書かれている。
【夜になるとモンスターは凶暴化し、屋外に居る人間を襲います。宿から出てはいけない時間に外出をして万が一の事があろうが、責任は負いかねます。自分に自惚れるな!】
モンスターが凶暴化……もしかしたら窓を割られるのを防ぐ為に窓が無いのかもな。
自分に自惚れない、自惚れない……よし。寝よう。
ベッドへ飛び込み、某秘密道具漫画の勉強、運動の出来ないメガネ少年の如く高速で就寝した。
……遂に異世界で1夜を明かしてしまった。夢では無いみたいだ。
今日は朝から仕事をしなくてはいけないらしい。直ぐに受付の方へ向かった。
「あら、朝早いわねぇ」
見るとまだ朝の6時。そう言えばこれも情報収集の成果だが、“時”という概念は地球と変わらないらしい。場所によって誤差はあるだろうが。
「いえいえ」
「そうそう自己紹介が遅れたわね、私はベル。早速仕事をして貰おうかしら」
「何でもします!」
「だったら……」
[用語]
・ベルク……この世界のお金の通貨。大体1ベルクは日本円で15円位。
評価待ってます。