少年・男 ~謎の町の住民の話~
~青年の話~
?「今日で二度目だ!見慣れない顔を見るのは!」
俺「俺のことか?」
俺は、いきなり青年に肩をたたかれた。
青年「そうそう。おじさんのこと!」
俺は、もうそんな年に見えるのか。
俺「そんなに年に見えるか?」
青年「僕よりは年上だろう?なら、おじさんだ。」
そいうものなんだろうか。
とにかく、初対面なのにずいぶんなれなれしく話しかけてくるな。
青年「おじさんも、訳ありかい?」
俺「”も”ってことは、俺以外にも見慣れない顔を見たのか?」
青年「うん。見たよ!マーシュ君を。」
俺「マーシュ?」
青年「うん。とにかくさ、話を聞かせてよ!おじさんもこの町の人間じゃないんだろう?」
俺「そうだな。確かに俺はこの町の人間じゃない。だけど、ただでは教えるわけにはいかないな。」
そう言って、俺はニヤリと笑って見せた。
青年はより好奇心をかられたようだ。
青年「お金かい??」
俺「いや、その少年…マーシュ君とやらの話を聞かせてほしんだが。」
青年「それだけでいいのかい??」
俺「ああ、いいさ。少年のことを教えてくれたら、俺の話もしてやる。」
青年「やった。マーシュ君はね・・・・・・・」
~町の住人が死ぬ時~
コンコン
僕は、「大きな木」を去った後、ランダおじさんの家を訪ねた。
ランダ「おお、マーシュ君か。どうしたんだい?」
少年「すこし、聞きたいことがありまして。」
ランダ「いいだろう。家に入りなさい。」
少年「お邪魔します。」
それから、僕は町の住民は寿命を遂げる以外にどういった死に方をするのか聞いた。
この町から、少し外れたとこにあまり裕福でない人々が住んでいる場所があるらしい。
この町ではその人々を差別するようなことはないのだが、外れに住んでいる人たちがあまり近寄ってこないらしい。
なぜ、来ないのか。
そう尋ねたことがあるという。
そうすると、人々はただ「怖い」とだけ答えたそうだ。
裕福でない人々を本当は心の中で、嫌っているのではないか。笑顔であっても本当は嫌がっているのではないか。食べ物を分けてくれるが、誰かに言われていやいや持ってきているのではないか。
どこまでが本当なのか分からない。どこまで信じていいのか分からない。
優しすぎるゆえに、近寄りがたい恐怖を感じるのだという。
そういった人々は、町の中心に来ることを避けそのまま、餓死などをしてしまうのだそうだ。
他には、事故。
この町には車はないが、商品を運んでいたり家の外周を直していたりする時に不注意で、子供や老人が被害を受けたりするらしい。
だが、それで死んでしまうのはあまり多くはない。
一番多い死に方は、木に魂の返還を求められるのだ。
木は命を授けるが、授けたその命を取り戻そうとすることがあるらしい。
木は定期的に命を授けるのではなく、とても、気まぐれなのだという。
木は、一つでも木自身に魂が残っていないと枯れてしまうという話があるらしい。
次に新しい命を授けようとしたときに、木の中の魂がなくなりそうになると、1年以内に授けた命の中で、一番弱っている人物の魂を返還させるのだという。
返還を求められれば、それに従わないわけにはいかない。
返還を求められた人物は、その木の下へ行き「私をあなたに捧げます。」と祈り続ける。
そのうちにだんだんと体が薄くなり、最後は魂だけになり木に戻っていく。
ランダ「だいたい、わかってもらえたかい?」
少年「はい。ありがとうございました。」
ランダ「あまり、この話は気分が良くないな。」
少年「すみませんでした。では、今日はこれで失礼します。」
ランダ「そうか。またいつでも来なさい。質問にも答えられるだけ答えよう。」
少年「失礼します。」
少年は家に戻り、眠りについた。