少年 ~謎の大きな木~
~木の下へ~
少年は、外がほんの少し暗くなってきた頃目が覚めた。
どのくらい寝たんだろう。
少年「もう、夕方か。寝たのは昼過ぎだったかな…。」
かなり寝たようだ。
僕は、ランダおじさんの言っていた「守り神の大きな木」のことが気になっていた。
これから行ってみようか。特にやることもないし、今は帰る場所があるから今いる場所から離れても安心できる。
僕は、外に出た。
町を歩いていると、町の人が笑って話しかけてくれた。
?「こんにちは。この時間はこんにちはか、こんばんはか、わかんないねぇ。」
?「こんばんは!今日からこの町に住むんだろう?わからないことがあったらなんでも聞けよ!」
そんな、たわいもない言葉を僕にかけてくれた。
今までいた世界と違いすぎて、僕は居心地が悪かった。どう反応を返していいのか分からなかった。
僕は、まともに笑うこともできないのだ…。
そんな、少しもやもやとした気分のまま「大きな木」のある場所へつながるアーチをくぐった。
目の前にランダおじさんが言うように、本当に大きな木が素晴らしい木がそこに立っていた。
僕は、これまでにない程感動した。
こんなにも、神秘的な木を見たことがなかった。
僕は見とれていた。
そのうちに、なぜか涙が出てきた。
理由は全くわからなかった。
だけど、涙が出てきたのだ。
少年「流石・・・人の生命が宿っている木だ…。」
少年は涙を拭こうともせず、そのまま涙を流しながら立ち尽くしていた。
僕は、どのくらい木に見入っていたんだろう。
1組の老夫婦が少し近くの場所に立っているのに気付かなかった。
いつ来たんだろうか。
さっきだろうか。
それとも、最初からいたんだろうか。
その老夫婦も泣いていた。
木に向かって静かに涙を流していた。
ほんの少しだが、声が聞こえた。
老婆「なぜですか…」
老父「なぜ、あの子が先なんですか…」
老婆「私が代わりに逝ってあげたい。何で…まだほんの少ししか生きていないのに…」
老父「あの子には、何もしてあげれなかった。何一つ…」
老婆は声をあげて泣き出していた。
それを、老父は優しく支えている。
この町で、寿命を遂げる以外に死んでしまうのはどんな時なんだろう。
事故、病気、殺人。
それは、この世界も同じことなんだろうか。
僕は、その場から離れ家に向かった。