男 ~謎を追いかけて~
~少年を追って~
男性は、少女の事件から3日後についに行動を開始した。
会社を、男性に会った3日後にやめた。
やはり、今の安定した生活を崩すのはなかなかできないものだった。だが、どうせ俺はこれからある意味で死ぬのだ。
だから、仕事を辞め借りていたアパートを返し、荷物をまとめてこの場所にいる。
やはりこのビルの屋上に来るとあの時の光景がよみがえる。
荷物はとても少ない。いらないものはすべて捨てるか売るかしてきた。これから金が必要になあるかもしれないから。
あともう少しで、11時00分になる。今は、11時48分。
俺「やっぱり、少し怖いな。」
チャンスは一度。飛び降りるタイミングを間違えればただの、馬鹿な自殺者。
死ぬ気がないのに死ぬなんていやだ。
まあ、俺が死ぬか消えるかしたところでこの世界で俺がいなくなって困る者などいない。
そうするためにすべて捨ててきたのだから。
そうこう考えているうちに10時53分。
だんだんと緊張してきた。
緊張と興奮が入り混じっておかしくなりそうだった。
だが、ここで冷静になっていなければ失敗してしまう。確実に成功させなければ。
10時55分。
夜の街はやはり騒がしい。
いたるところに酔っぱらいがいる。誰も屋上など見ちゃいない。
見られるのは少々困る。もし、俺が飛び降りるのを目撃したやつがいてそれが、ニュースなどに取り上げられれば、馬鹿な奴らが無計画にここから飛び降りてしまうかもしれない。俺のせいにされたらたまったもんじゃない。たとえ俺がその場にいなくてもだ。
10時58分。後少しだな。
準備しなければ。俺は柵を乗り越え少しの出っ張りに足をかけた。そして、両手で柵をつかみしゃがんだ。
後は、時間どおりに飛び降りるだけだ。
10時59分24秒。
腕時計から目が離せないな。右手を柵から離した。
10時59分40秒。
緊張で柵をつかんでいる手が汗ばんでいる。
10時59分50秒。
51秒。
52秒。
53秒。
54秒。
55秒。
56秒。
57秒。
58秒。
59秒。
「それっ!」
俺は11時00分になると同時に飛んだと思う。
俺は時計を見ようとした。だが、体が動かない。
声も出ない。金縛りってこんな感じかな。と思った時だった。
俺は気を失った。
その後、男性を見た者はいなかった。