少年・少女 ~謎の町の住民~
~突然の少女~
青年は素晴らしい笑顔を見せた後どこかへ行ってしまった。
これからどうしようか。あたりを見回してみた。
見たことのない草・木・花が沢山ある。
僕は植物が好きだ。人間に踏まれても薬を撒かれても、一度枯れてもまた生えてくるあの強さが好きなのだ。
「僕にもそんな強さがあれば。」
とにかく、山のほうへ歩いてみることにした。
歩いていると、なんだが騒がしくなってきた。
人々が皆同じ方向へ向かって走っていく。僕もその方向を見てみた。
そこにはすごい人だかりができていた。
人が多すぎてよく見えないが、どうやら1人の少女を囲んで何か話しているらしかった。
少し近づいてみた。
すると、話し声が聞こえるようになった。
?「もー!またどこかに行っていたんですね!!」
?「みんな心配したんですよ?!」
?「すぐ、どっかに行ってしまうんですから。」
少女はとにかく、ごめんごめんと謝っている。
?「あなたの親御さんたちがすごく心配していますよ!」
?「そうそう。今回はいつもより長くて本当にどこかへ行ってしまったんじゃないかって。」
?「今回は2週間でしたからね!」
皆、口々に何かしら言っては笑い合っている。
少女「そうだった!!私もう行くね!みんなごめんね心配かけて!!それじゃね!」
少女は走ってアーチのほうへ走って行った。アーチの向こうに、人々の住む家があるらしかった。
?「全く困ったものよね。」
?「本当にね。」
などと、言ってはまだ笑っている。本当に少女が帰ってきたのが嬉しかったんだろう。
?「なにしてんだい!」
といきなり肩をたたかれた。僕は思わずびっくりしてしまった。
少年「わ!」
青年「ごめんごめん。僕だよ僕。驚かすつもりはなかったんだけど。」
少年「こちらこそすいません。声をあげてしまって。」
青年「それより、なにぼうとしてるんだい?まあ、さっきからだけど。」
と言って、笑っている。
少年「さっきの騒ぎが気になったので。どうしたんですか?」
青年「ああ、さっきのね。ミーシャさんが帰ってきたんだよ。」
少年「さっきの少女ですか?」
青年「そうそう。ミーシャって名前なんだ。あの人は暇になるとすぐどこかへ行ってしまうんだ、本当に活発な女の人なんだよ。」
少年「なぜ、さん付けなんですか?あの少女はあなたより年が下なのでは?」
青年「何言ってるんだよ!あの人は僕より年上だよ!」
完全に、姿は少女だったけどな。顔は老けているんだろうか。
?「おい!!マルス!何サボってんだ!!」
青年「わあ!ランダおじさん!!見つかっちゃったか。」
と言って、いたずらっ子のような笑みを浮かべている。
?「そこにいるのは?」
青年「ああ、まあ、簡単に言うと旅人だよ。」
少年「そんなものではないですよ。」
?「まあ、いい。マルス!早く仕事に戻れ!」
青年「はいはい。じゃあね!あ、名前言ってなかったね。僕はマルスってんだ。よろしく!君は?」
僕は少し考えた。僕には名前がないから。
少年「僕は、……マーシュっていいます。」
マルス「そっか!じゃあな!マーシュ!」
?「ほら!はやくやれ!」
マルス「わかったって!」
マルスに怒鳴っていた男が僕に近づいてきた。怒られてしまうのかと思った。
?「君かい?マルスの言う旅人は。」
少年「そうです。でも、旅人ではないです。旅なんてしていませんから。」
?「そうかい。君は何て名前だい?」
少年「僕はマーシュです。」
?「そうか、俺はランダっていうんだ。まあ、若いやつらはランダおじさんってよぶがな。」
少年「そうですか。」
ランダ「それより、今からうちにこないか?」
少年「え?」
ランダ「君はこの町の人間ではないんだろう?しかもこの町にいきなり来たのじゃないかね?」
少年「………はい。」
なんで、わかったのだろう。旅をしていないと言ったからだろうか。
ランダ「やはりそうか。少し話したいことがある。ついてきてくれ。」
少年「はい。」
なんだろう。出て行けとでも言われるんだろうか。まあ、構わないが。
少年と男は男のうちへ向かい歩きだした。