夕暮れの公園で
(散歩でもしてこようかな~)
泉水は、いつ歌詞が思いついても大丈夫なようにノートと筆記用具をバッグに入れ、新曲のメロディーを聴きながら適当に歩く。
途中、ブランコと滑り台、砂場しかない小さな公園を見つけた。
人もいなく、落ち着ける雰囲気だったので、ベンチに座り、少し楽曲ノートを進めることに。
テーマを考えたり、とりあえず浮かんだ言葉を書いているうちに時間が経っていたようで辺りは少し暗くなっていた。
空を見ると、上の方はまだ青が残っているが、オレンジの夕焼けが下に広がっていて、一番星も出ている。
「綺麗だな」と思い写真を一枚撮った時、反対側を同じ学校の制服を着ている人が歩いて来た。
(…桜樹くんだ)
風月は空を見上げると、スマホで撮影し始めた。
少し嬉しそうな顔で空を撮っている風月を泉水はをボーッと見ながら、
(まさか、散歩の途中に立ち寄った公園で桜樹くんが見られるなんて… 桜樹くん、家ここらへんなのかな…)
そんなことを考えていた。
空を撮影し終えたのか、風月がスマホをしまうと、ふと泉水の座るベンチに顔を向ける。
ドキッ! 風月と目が合った泉水は焦った。
(見てるのバレたかも…)
学校では伊達めがねをかけ髪を下ろしているが、今はめがねを外し髪をバレッタでまとめている。
(学校の時と違うし、大丈夫だよね… そもそも、私のことなんて認識してないだろうし…)
少し距離もあったし、気づかれることはないと思いながらも、何となく気まずさを感じる。
泉水は、バクバクとうるさい心臓の音に急かされながら、筆記用具をカバンに入れて逃げるように公園をあとにした…
…
Haruがグラデーションの空について歌ってから、空を見るたびに写真を撮る癖がついた。
雲や木の影の構図を考えながら風月は一通り写真を撮る。
(こんな感じかな…)
風月が写真を撮り終え、ふと公園を見るとベンチに腰掛けている人と目が合うー
公園の街灯に照らされ、真っ直ぐ伸びた姿勢でこっちを見ている彼女から目が離せずにいると、急に彼女が荷物をまとめ、ペコっと頭を下げ足早に公園を去って行った。
頭を下げられた風月は、もしかして知り合いだったのか?と考える。
(ー今、何か落としたような…)
彼女が立った時、ぽろっと何かが落ちたように見えたので、彼女が座っていたベンチに向かうと四つ葉のイラストが入ったペンが落ちていた。
(このペンどこかで見たような… それにさっきの人、どこかで見たことあるような気も…)
風月は、ペンを見ながら記憶をたどる……
(最近見たような… ーそうだ、確か前野が使っていた気がする。でも、雰囲気全然違うよな…
えっと、さっきの人にめがねをかけて、髪をおろして…うん、似てる気がする)
風月の脳内で、さっきの女性と同じクラスの泉水の顔がリンクした。
だが、風月と泉水は同じクラスということ以外関わりがなく、会話をしたこともないので、自信は半々…
そのままペンをベンチに置いておこうか迷ったが、気に入っているモノだったら早めに渡した方が気に病むこともないだろう思い、風月は明日渡そうとペンを持ち帰ることに。
(もし違ってたら明日帰りにベンチに置けばいいか…)
Haruの曲を聴きながら、家へ向かう風月。




