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第6話

 高山と恋バナしながら一緒に帰ったその日の夜、勉強中に雛崎からLANEが来た。


 俺はSNSは一通りやっている。アンスタやトイッターも使うけど、主な連絡手段はLANEだ。


 LANEはクラスや男友達のグループ、中学の友達のグループへの連絡なんかが主だ。クラスLANEでは連絡事項や先生への愚痴が多いけど、俺はあまり話に参加することなく見ている方だった。


 それ以外に、個人的に連絡する友達も結構いる。雛崎もそのうちの一人だった。


 とは言っても、俺から雛崎に連絡することはほとんどない。


 だって用事がないし、だいたいこっちから連絡するのもなんか、恥ずかしいって言うか、ね。


 たいていは雛崎から連絡が来て、しばらくの間メッセージを送り合うのがいつものことだった。


 雛崎は男女問わず友達が多いから、俺と違ってLANE相手が多いだろうな。


 そんな、どうでもいいことを考えている時だった。


 ピコン。「yumeno」という名前とかわいいキャラクターのアイコンが見えた。


 『見たぞー』


 雛崎からメッセージだ。ん? 何をだ?


 『何のこと?』


 『かわいい子と一緒に帰ってるとこ』


 これってもしかして、高山のことか?


 『陸上部の高山さんのこと?』


 すると、いきなり雛崎から電話が来た。中学時代から今までで初めのことだ。


 「もしもし。どした? いきなり」


 「ねえ、陸上部の高山さんって、かわいいよね。走ってる姿とか特に」


 ちょっといきなり何言い出すんだこの人は。何て返していいか分からないだろ。


 俺は少し間を空けて、天井を眺め、冷静を装った。


 「いきなりだなー。ま、まあ、周りが言うなら多分そうなんじゃないか、し、知らんけど」


 冷静を心がけたのに、結局ちょっと答え方がしどろもどろになってしまった。


 ていうか、あれだけかわいい雛崎に対して他の女子をかわいいって言うのに、緊張するなっていうほうが無理だろ。


 「ふふっ。高山さんとはどんな関係なの?」


 俺がキョドったのを雛崎は間違いなく面白がっている。


 ほんと、こういう恋バナに首つっこんでくるよなー雛崎って。絶対楽しんでるだろ。


 「どんな関係って、同じ部活で、帰る方向が一緒だからただ一緒に帰ってる相手、だよ」


 「へぇーそうなんだ。どう、彼女候補になりそう? もしかして、運命の相手だったりして」


 なんていうか、雛崎めっちゃ嬉しそうだな。俺が女子とからむのがそんなに面白いのかよ。


 「いやいや、ないって」


 俺はすぐさま否定する。すると、少しの間沈黙があった。


 「……何で、そう言い切れるの?」


 うーん。これ言いづらいな。


 俺は少し考え、誤解がないように慎重に言葉を選んで答えた。


 「……だって、高山さんってほんとにただの友達だし、何となくだけど好きな人いそうだし。あと、まあ、かわいいから、俺とはないかなって」


 俺は、なんとか理由を絞り出したつもりだった。


 けど、雛崎は俺が不要ににつぶやいた最後の言葉を許してはくれなかった。


 「好きな相手がいそうだっていうのは分かるけど、高山さんがかわいいから自分とはないって、どういうこと?」


 答えに困る。正直な思いなんだけど、それを雛崎に言うのは難しかった。


 だって、雛崎との関係があってそう思うようになったんだからな。


 「……言いづらいんだけど、中学の頃から雛崎と仲良かったろ、俺。それで、俺は雛崎のこと好きにならないように気をつけてたんだ」


 雛崎はしばらく無言だった。


 「……なんで?」


 「だって、友達だし、雛崎彼氏いたし。それに、雛崎みたいな、その、かわいい女子が、俺なんかを好きになるわけないから」


 「どうしてそう思うの?」


 雛崎の口調は、純粋に疑問に思っているという感じだった。


 あー、どうすりゃいいんだよ、これ。何を言ったら雛崎は納得してくれるんだ?


 俺は迷った末、あまり言いたくなかったけど、はっきり分かるような答えを雛崎に伝えた。


 「どうしてって、分かるだろ? 俺はモテないんだよ。今までモテたことなんて1度もないからな。だから、勘違いだけはしないでおこうって思ってるだけだよ。中学時代に雛崎と仲良くなって、なおさらそう思うようになったんだ。モテる人には分かんないと思うよ、この気持ちは」


 俺は思わず、最後に必要のない嫌味を言ってしまった。


 雛崎は俺の発言を聞いた後黙って、少し間を空けてから、つぶやくように言った。


 「……別に、私だってモテたいわけじゃないんだけどな」


 あー、これは俺が悪いな、さすがに。


 「ごめん。言い過ぎた」


 俺の謝罪を、雛崎はすぐさま明るく受け止めてくれた。


 「すぐ謝るのは園山のいいところだよね。許したげる。でも、園山がモテてないってことはないんじゃないかな」


 へ? どういうこと?


 「え、なんでそう思うの?」


 「だって、園山って私と友達だし、高山さんとも友達でしょ。恋愛って友達から始まるんだよ。だから、かわいい子と友達の園山は周りから見たら十分モテてる方だって」


 え、俺モテてるの? いや、ただ友達ってだけだろ。


 「そうか?」


 「うん。それに、愛瑠も園山と話したいってこの間言ってたから。園山に興味があるんだって。よかったね」


 一瞬、ちょっと言ってる意味が分からなかった。


 愛瑠、って言ったら俺の隣の席の玉木さんだよな? 高校入学して1ヶ月以上たつけど、俺1回も話したことないんだけど。嘘だろ?


 「えぇ、マジで? 玉木さんと今まで1回も話したことないし、ちょっと信じられないんだけど」


 「ほら、やっぱり園山ってモテてる方だって。だから、自信持っていいと思うよ」


 「そうかな。あ、そういえば、さっき言ってた陸上部の高山さんが雛崎と仲良くなりたいって。LANEの招待送っとくから、メッセ送ってみて」


 「ほんと? 私も高山さんと仲良くなりたいと思ってたんだよね。ありがと。じゃあね、園山。おやすみ」


 そう言って、雛崎は通話を切った。


 にしても、俺ってもしかして、モテてる方なのか?


 いやいや、勘違いしちゃダメだ、俺はただ美少女と仲がいいだけの友人Aなんだから、と俺は自分に必死に言い聞かせた。


お陰で、そのあとの勉強が全く手につかなかったのは言うまでもなかった。

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