表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/21

第15話(改稿後)

 「おー、慎一ぃ。ちょうど良かった。俺も今日のこと話したかったんだよ」


 スマホから颯人の、カラっとした明るい声が聞こえてくる。


 「俺もだよ。慎一、どうだった今日?」


 こっちは彼方だ。いつもどおり、爽やかな声だった。


 「めっちゃ楽しかったよ。みんなと一緒にご飯食べて、話してさ」


 「うんうん」


 「そうだよな」


 みんな、口調が軽い。さっきまでの盛り上がりがまだ続いているようだ。


 「それにしても、みんな慎一の知り合いだったんだろ? 慎一ってかわいい子の友達多すぎないか? あの3人、学年トップ3って言われてるよな」


 颯人の話声を聞きながら、確かにトップ3って言われてるな、と思った。でも、かわいいから友達になったわけじゃないのは確かだ。


 「確かに3人ともかわいいけど、俺にとっては本当に友達なんだ。かわいいから近づいたとか、そんなんじゃないからな」


 「分かってるよ。慎一はそんな奴じゃないからね。でも、あの3人と友達なんて、男子ならみんなうらやましいんじゃないかな」


 彼方でもそう思うんだろうか。


 「彼方って3人とは知り合いだったんだっけ。ていうか、彼方でもうらやましいとか思うの? 別に普通の友達なんだけど」


 「いや、俺は別にうらやましいとかはないけどね。夢乃とはサッカー部で普通に友達だったし、愛瑠は中学で知ってはいからね。交流はほとんどなかったけど、1年の頃同じクラスだったし。花音は今回が初めてだね」


 彼方は事もなげに「うらやましいとかはない」って言ったな。イケメンの余裕、だろうか。


 「え、愛瑠と同じクラスだったって? その頃の愛瑠はどんな感じだったんだ? 教えてくれよ彼方」


 愛瑠にお熱な颯人が食い気味に聞いてきた。


 「その前に、お前別れた彼女とはもういいのかよ」


 「ああ、それな……。それは聞かないでくれって。色々あったんだよ、色々とな」


 颯人は元カノの話になると、途端に消沈した感じになった。


 「え、俺が聞いていいか分からないけど、何があったんだよ」


 「聞いてくれるか? それがさ、高校入学してしばらくしたら部活とか何とかで1ヶ月近く会えなかったんだよ。そしたら段々連絡回数が減ってきて、まあ相手も忙しいかと思ってたらさ、こないだ久々に会おうって言われて行ったら『別れよう』ってさ。理由聞いたら『好きな人ができた』って。ならしょうがないわなって別れたんだよ」


 俺と彼方は黙った。思ったより、かわいそうな感じだったからだ。


 「おい、ちょっと黙んなって。俺ももう割り切ってるんだから。気にしてないって。それより今は、愛瑠のことが気になってるんだよ。なあ彼方、頼むから中学時代の愛瑠を教えてくれよ。知りたいんだよ愛瑠のこと」


 いや、前言撤回だ。颯人はやっぱり強いな。立ち直りが早いんだ。俺も見習いたい部分だ、うん。


 まあ、ちょっと立ち直り早すぎる気もしないでもないけど。これがイケメンの強さなんだろうか。イケメンじゃない俺にはさっぱり分からないけど。


 「はあ、分かったよ。俺から言ったって愛瑠に言わないでくれよ。愛瑠が今みたいな感じになったのは、確か中2の途中からかな。それまでは、眼鏡をかけて目立たない感じの子だったよ」


 彼方は昔を思い出すようにして、優しい口調でそう話した。


 「そうか! ありがとうな彼方。いや~昔は目立たない感じだったのか。でも、今の愛瑠はいいよな。彼方は好きにならなかったのか?」


 「ならなかったよ。俺、ほとんど自分から女子を好きになったことないし」


 彼方はさらっと答えた。


 「ほとんど自分から好きになったことがない」って、かっこよすぎだろ。一度は言ってみたいわ。俺、今まで自分から好きになってばかりだし。って言ったらダサすぎるだろ。


 そう言えば、6月になったら文化祭あるよな。確か、1年生は合唱コンクールって言ってたような。合唱かぁ。中学以来だな。


 「もうすぐ文化祭があるな。1年は合唱コンクールだったはずだけど」


 「合唱コンクール、か。やるからには頑張らないとな」


 彼方はいつも通り爽やかに、イケメンらしい前向きさを見せた。


 やっぱり彼方は夢乃と並んで我が1-3の中心人物。きっと男子を引っぱってくれるだろう。


 「言っとくけど、俺たち1ー6は絶対負けないぞ。あの花音がピアノで、指揮者は俺だ。花音、ピアノめっちゃくちゃうまいらしいぞ。それに俺の指揮があれば最強だよ」


 颯人は指揮者に決まってるのか。ていうか花音がピアノか。今日確か、趣味はピアノだって言ってたな。


 「やる気だな、颯人。俺たちのクラスはまだ決まってないけど、どうなるんだろうな、彼方」


 うちのクラスの文化祭実行委員は夢乃と愛瑠だったはず。


 「まずはピアノと指揮だね。夢乃ってピアノ弾けるの?」


 夢乃は、中学時代はよく伴奏者をしていた気がする。


 「中学の頃は伴奏者だったな。愛瑠はどうなの?」


 「愛瑠はちょっとわからないな」


 そんな話を彼方としていると、颯人が割り込んでくる。


 「俺たちは友達だけど、文化祭じゃ敵同士だからな。俺と花音で1ー6を優勝に導くんで。じゃ、今日は楽しかったな。またな」


 「ああ、またね。今度は男子だけで遊びに行こう」


 「それいいな彼方。絶対行こうな。じゃあな」


 そう言って、俺は通話を終えた。


 彼方と颯人は今日初めて話したくらいなのに、すごく仲良くなったな。この調子だったら、もっともっと仲良くなれそうだ。俺はすごく楽しみになってきた。




 その後、部屋で勉強していると、女子から次々にLANEが入ってくる。


『yumeno 今日は楽しかったね みんな仲良くなれそうでよかった』


 またね、というスタンプが出てきた。俺も、またな、というスタンプを送る。


『花音♪ 緊張したけど楽しかった これらも楽しみ~』


 花音は楽しげな音符のスタンプだ。俺はグッドボタンで返した。


『愛瑠♥ いっぱい話せたね~ またはなそ~♥』


 愛瑠からは本気かどうか分からないけどハートの絵文字が来た。本気にするわけにはいけないのでとりあえずグッドボタン返しとく。


 女子からのLANEを友人Aスキルを駆使して危なげなく? クリアすると、俺は少し疲れてベッドに体を預ける。


 改めて、俺がこのメンバーのリーダーって何なんだろうな。どう考えても俺以外だろ。


 むしろ、友人Aだから信頼されてるんだろうか。特に、女子からはよく分からないけどある程度の信頼を感じる。


 それが決して「恋愛感情」ではないことがポイント、だよな。ここテストに出るぞ、男子諸君。


 そんな、下らないことを考えている時だった。


 「お兄ちゃんごはーん!!」


 一階からめちゃくちゃでかい奏美の声が聞こえてくる。ここですぐ行かないといつまでもあれこれ言われるのが分かっている俺は、ベッドから飛び起きた。


 「今行くって~」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ