第9話 君の父親
文化祭の仕事終え、愛芽との集合場所に向かう。
(ふぅ〜文化祭の仕事は終わったし後は楽しむだけだな!)
「雨、降りそうだな…」
私は空を見上げていた。すると突然
「冷たっ!」
右手に冷たいものが伝わる。
「お茶…!」
冷えたペットボトルのお茶を零が買ってきてくれた。
「遅かったね〜」
「これでも急いで来たんだぞ?」
そんな会話をして、時間ある限り様々なお店を回った。クレープを食べたり、すごろくをしたり、文化祭を楽しんだ。
その途中放送が流れた
(放送の音)
「近況報告です!今の所生徒会企画の同じ番号の人を探すの達成者はおりません!文化祭が終わったらあるものは貰えないので、注意してください!文化祭も終わりが近づいてきたので、積極的に話しかけに行きましょう!」
ここで思い出す俺
(そういえば俺と愛芽は同じ番号だったな。いつネタバラシをするかとか思っていたが...初めての達成者は目立ちそうだから黙っていよう...)
愛芽は少しお手洗いに行っていたその時、
「君、零くんだよね?」
と大人の男性に声をかけられた。
文化祭は当然保護者の方も来るため、大勢大人の人が来ている。
(だからといって俺に用がある人なんているのか?)
俺は少し怪しむ
返事なんてしてないのにその男性は話を続け
「失礼...誰だか分からないんじゃそりゃあ警戒するよね。私は愛芽の父親だ。早速本題に入ろうか...……愛芽にこれ以上関わるのやめてもらってもいいかな?」
(!?)
(何を言っているんだ?この人)
「いやすまん...関わるなではないな...付き合ったりしないでくれだな。」
「私たちは来年の夏休み最終日に海外に引っ越すんだ。君も別れが苦しくなるだろうから今のうちに言っておこうと思ってな」
(いやいや!)
俺は必死に否定する。
「そもそも俺達はそんな関係じゃありません!付き合う?何を言っているんですか?」
思わず声を荒らげてしまう
「そうか...そろそろ愛芽が帰ってくるかもしれんから私は帰るな...すまなかった零くん。私の杞憂だったようだ。」
あの人は言うだけ言って帰って行った。
(本当になんだったんだよ...付き合うな?その気持ちはない。それにまだ会って1ヶ月も経っていないんだぞ?)
そんなことを考えているうちに愛芽が帰ってきた...
(さっきの出来事は言わない方がいいのかな?)
と感じ、言うのを辞める...
忘れようさっきのことを、まだ文化祭は終わっていない!
「次はどこに行く?」
「待って!」
と俺の手を掴む
「私さ...零に言わなきゃ行けないことがあるんだ...」