第6話 君の幼なじみ
その日の放課後
(あ〜あ...誘えて良かったな)
私はうきうきで廊下を歩いている。
すると零を見つけたので、声をかけようとした時だった...
零が誰か”女子”と喋っている。
盗み聞きなんて良くないと思っていても気になった。
すると零の声が聞こえてきた。
「え?俺と文化祭!?」
私ははっとなり、その場から離れる、これ以上聞きたくなかったから...かな?
文化祭まで残り3日切った今俺が気になることがある。愛芽がいつもみたいにからかうことが無くなったことだ。あの約束をした日を境に?そんな気がする
「大輔...今まで愛芽と普通に話してたのに急に話すことが無くなったんだけど、なんでだとおもう?」
分からない俺はとにかく相談のできる唯一の親友に相談することにした。
「お前が何か知らずに傷つけちゃったのか?」
「特になんもしてないけどなぁ〜」
本当にここら辺がないから困っている...
「からかわれないからいいってことでは無いよなぁ〜普通に話してはくれないと不安なのは共感できるし...」
「思い切って聞いてみようかな?」
俺が大輔に相談すると
「それも手だと思うけど...今はそっとしとくのも大事なんじゃないか?」
「でも...文化祭一緒に回る約束しててこのままじゃ気まずい」
「ああそれは気まずいな...」
「俺が理由を聞いてこようか?本人には言いづらいかもしれないし。」
(大輔って本当に人のために行動できる良い奴だよな)
「でもいつもみたいにこれもからかっているだけかもしれないし、大輔の言う通りそっとしとくよ、ありがとう!」
と思っていたんだが...
文化祭前日でもまだこの状況は続いている...
(ここは思いきって)
文化祭準備をしている愛芽に話しかける。
「愛芽!」
「...なに?」
いつもより少し声が低く聞こえた...
「怒ってるのか?」
「別に...」
「何か俺は悪いことをしちゃったか?」
「いや...」
沈黙が続く...そんな時、
俺に1人の女子が話しかけてきた。
「この子が零の言っていた文化祭一緒に回る子?」
「そうだよ...」
「愛芽紹介するよ...幼なじみの明星美結最近この学校に転校してきたんだ」
と軽く美結の紹介をする
すると愛芽が驚いて
「零に女子の友達が他にいるなんて!?」
「そりゃ、失礼だ」
(なんかいつも通りの態度に少し戻ったか?)
「へ〜この子が?」
「今回は君に負けちゃったけど今度は負けないからね?」
と愛芽に美結が話しかけている
「えっ?」
そりゃ愛芽は混乱するよな
そのまま廊下に出ていく美結を見送る
「さっきのことだけど...実はな...」
文化祭2週間前(愛芽が帰ったあと)
「そろそろ帰るか...」
「零久しぶり!」
後ろから声が聞こえた、愛芽は帰ったはずだが...
聞き覚えのある声でとっさに後ろを向く
(!?)
その顔を見て俺はびっくりする。
「美結!」
こいつは幼なじみの美結、でも...
「親の仕事で海外に行ってなかったっけ?」
そう、まだ小さい頃に美結は親の仕事で海外に転勤をしてしばらく会っていなかった。
「最近仕事が一段落して最近日本に帰ってきたんだ〜」
「そうか...またあえて嬉しいよ!」
「一段落ということはまた海外に?」
「…来年の夏休みが終わる時期ぐらいには海外に戻る...」
(そうなのか...)
「この学校に来たら文化祭準備を始めてて、そこでさ私まだ友達数人しか作れてなくて、」
(もう友達できたのかよ)と心の中でツッコミを入れる
「一緒に回る人迷ってるんだけど?私と回らない?文化祭」
「え?俺と文化祭!?」
驚いて少し大きな声になってしまう...
(いきなり言われても、)
でも...愛芽と約束をしたから
「ごめん...もう一緒に回る人がいるから、美結とは...一緒に回れない...」
「そうか...まぁしょうが無いな、じゃあ私は3組だからいつでもおいで!」
と言った美結の背中を見送った。
ーーーーといったことがあってな
「明星さんの誘いを断ったの?」
愛芽が質問をしてくる。
「え?だって約束したから」
「そう...約束したから。」
愛芽が少し笑った気がした...
「じゃあ今日は一緒に帰ろ〜」
(じゃあってなんでそうなった...でも...いつも通りの愛芽に戻った気がして一安心した...)
「結局なんで最近話しかけてこなかったんだ?」
「話しかけて欲しかったの?」
(……)
「...別に」
そうして俺達はいつもの帰路を辿った。