第56話 君の体力テスト
昼休みがもうすぐ終わる頃、廊下を歩いていた愛芽は
(次の授業体育か…美結ちゃんと早めに行って着替えよ〜)
そう思い、美結に声を掛けようと向かうと、教室に帰ろうとする。すると、教室が騒がしいことに気がづく。急いで教室に入ると、
「ふざけるなよ!!」
そう大輔が叫ぶ。
「大輔こそ!!」
大輔のその言葉に零も言い返す。
「どうしたの!?」
(あんなに温厚な2人がこんなに怒鳴るなんて余程のことが……)
そう思いかけた時、
「いや、気にしなくていいよ」
そう美結が隣から愛芽を止める。
「え?だって……」
そう愛芽言いかけた時、
「唐揚げはレモンをかけない方が美味しいって言ってるだろ?!!」
大輔のその言葉に愛芽は(うん?)と様子がおかしいと感じる。
「いやいやレモンかけないとかありえないから!!」
零のその言い返しで、美結が止めた理由を完全に理解する。
(どっ、どうでもいい!!)
そう愛芽が心の中で叫ぶ。
「稲木!お前はどっちはなんだ?」
零が隣にいた稲木を巻き込む。すると稲木は
「ごめんな、零……俺、レモン嫌いなんだ」
そう言いながら大輔の肩を掴む。
「ほらな?零お前の負けだ!」
「……くっ!」
大輔の宣言に零は歯を食いしばる。
「美結は?美結はどっち派だ?」
「えっ?私?」
その戸惑った美結を見て愛芽はフォローする。
「美結ちゃん…ほっといて体育の支度しに行こ……」
「そうだね……」
そう言って歩いていく。
(体育着を取りに行ったのかな?)そう思ったのもつかの間、美結は零の肩を掴む。
「私はレモンかけた方が好きかな!」
(美結ちゃん〜!!!!)
またもや愛芽は心の中で叫ぶ。
「じゃあ、」
大輔がそういった後に零も続き、
「最後は……」
2人は声を合わせて愛芽に
「愛芽はどっち派?」
「愛芽さんはどっち派?」
(どうでもいい……けど言わないとこの論争終わらないよね……)
仕方なく愛芽は答える。
「強いて言うならデスソースかける派かな〜?」
そこでその場にいた全員が固まる。
「あの辛さが痺れるんだよね〜笑」
(ってあれ……?)
愛芽が気づいた時にはみんなは体育着を持って廊下に向かう。
「何か言え〜!!!」
その問いかけに大輔は改めて聞く。
「愛芽さん本当にデスソースかけて唐揚げを食べるの?」
「ええ、」
「辛くないの?」
「ええ、」
その後全員が顔を見合わせて直後に何も言わずに体育館に向かう。
「ちょっと……だから何か言いなさいよ〜!!」
愛芽は言いながら後を追う。
そして体育の授業が始まる。
「今日は体力テストを行います、得意な競技からどんどん測定してくださいね、持久走だけは後日測定するので、そこだけは把握しておいて下さい。」
先生の説明が終わると、生徒は動き出す。
「みんなは何を測定しにいく?」
美結はいつものメンバーに聞く。
「行き来するのは面倒だし、外競技からやろうぜ!」
大輔のその提案に全員がのり、外に向かう。
「50m走が空いてるな〜」
それを確認した零達は最初に50m走を行う。まずは大輔が走る。
「え?大輔くん速くない?」
愛芽は大輔の速さに驚く。
「そっか…愛芽ちゃんは大輔くんが走るところを見るの初めてだっけ?去年、私も驚いたんだよね〜」
走り終わった大輔が歩いて嬉しそうにこちらに戻ってくる。
「6.3秒だった〜!」
「すごいじゃん、去年より0.1秒上がってるじゃん」
稲木が素直に褒める。その後、続いてみんなも走る。
「8.1秒」と美結
「7.1秒」と稲木
そして「7.9秒」と愛芽
最後に零が走る。だが、その速さはかなり遅かった。
「8.3秒だったよー」
零の結果を聞くと、美結は驚く。
「去年も思ったけど零ってあんなに走るの遅かったけ?私が前に日本にいた頃はものすごく速かったのに…」
「昔と今を比べるもんじゃないよ〜」
そう言いながら零は次の競技に向かう。
そこからボール投げを行い、外競技を終え、体育館競技へと向かった。
運動場から体育館に戻ると、握力を測定している場所が盛り上がっていた。
「凄ーい!!!」
「男子より記録すげぇ〜!!」
そんな声が上がっていて、
((((あの人か……))))愛芽以外の4人は心の中で何かを察する。
「何かあったの?」
そう愛芽がクラスの友達に聞くと、
「麦村さんが去年の記録をさらに更新したの!」
麦村さんは稲木と零がもめた時にいた女子。
「では、次の授業のために」
そう言い、隣の棚にある、貸し出し用タブレットを約30台分を一人で持ち上げて廊下に歩いていく。
そんな様子を愛芽は思い出す。
(あの人か…)
「握力”54kg”だって!」
その記録を聞くと、
「へ!?」
愛芽の目が点になる。
「俺だって!」
大輔がそう意気込んで、握力測定器をつかみ、
「うぉぉぉ!!」
声を上げながら力を込める。そして結果を見ると、
「おっ!2kg上がった!」
そう喜び舞い上がる。
「おっ!私も中学の時より上がった!26kgだ!」
測った愛芽も記録が上がり、喜ぶ。それに聞き耳を立てた大輔は少し涙を流して去っていく。
そして他の競技も全て終了し、体力テストは終わる。
「後日”持久走”を行うのでよろしくお願いします。」
え〜!など批判の声が少しでるが、チャイム鳴り着替えに向かう。




