第54話 君の久しぶりの学校生活
夏休みが終わり、愛芽にとって久しぶりの登校。もちろん海外の高校にも通ってはいたが、今日よりうきうきする登校の日はなかった。
「私は3組だっけな」
学校に着き、2年生の新しいクラスの靴箱の場所に気をつける。
(前みたいにクラスに馴染めるかな?)
零にだけは帰ってきたことを伝えたけど、他の人には一切伝えていない。それゆえの不安もあった。
(新しいクラスにせめて零とか大輔くんとか美結ちゃんとかが居てくれると嬉しいな……)
そう願い、3組の教室に入ると……
愛芽の机に数人、集まっていた。
(本当に半年でも、懐かしく感じる。)
「久しぶり!!!愛芽ちゃん!!同じクラスでめっちゃ嬉しい!」
そう愛芽に飛び込んで来たのは美結だった。
「久しぶり!私も嬉しいよ美結ちゃん!」
美結の後ろには
(あっ!大輔くんと……稲木くん)
他にも大輔と稲木がいるのを確認して、一安心する愛芽。
でも……
「……零は違うクラスなの?」
「…………」
愛芽の問いにはみんなが黙る。
(しょうがないか……)
2年生は4組まであるので、これだけ友達が同じクラスなのが奇跡と言ってもいいぐらいだから、愛芽は納得する。
(けど少し……いやすごく)
「わっ!!」
「キャ!」
愛芽はびっくりして、短く叫び思わず前にジャンプする。
後ろを見ると零がたっていた。
「俺も同じクラスだよ〜いつもからかわれていたからなお返しだ〜」
そう緩い感じで言う。
愛芽を見ると、
「ばかっ……」
小さくそう言って顔を隠し、廊下に出ていく。
それを見た零と大輔と美結と稲木は顔を見合わせる。
「零が愛芽ちゃん泣かした〜!!」
美結がそう叫び、続けて大輔と稲木も
「誰か警察呼んできて〜!!」
「ついでに裁判官呼んできて〜!」
「やっちゃったかな……」
苦い食べ物を口にしたような顔で零はその言葉を振り絞る。
「「「うん!!」」」
残りの3人は声を合わせて間髪入れずにそう答える。
「謝ってくる……」
そう言って零はしょんぼり顔で廊下に向かう。
(まぁ、本当は零が同じクラスで安心したんだろけどね〜鈍感だな〜)
廊下に向かう零を見ながら美結はそう思う。
廊下に出るとすぐに横に愛芽がいた。それに気づいた零はすぐに
「あの……愛芽、ごめん!」
「別に…!」
そういった後、
「嬉しかっただけだし……」
そう小声でいうが零は聞こえず、
(やっぱり怒ってるのか??)
不安になる零に気づくと、愛芽はぷっと笑い。零の方をむく。
(急にどうしたんだ?)
零が混乱していると。
「ねぇ、零。」
「なんだ?」
「知ってたんだ…私」
「何が?」
「零が同じクラスだってこと」
(へ?)
思わず変な顔をしてしまう。
「靴箱で零の名前があったから……」
零は手を顔に当てる。
(全部お見通しだったってことか…)
「そうだよ〜」
そうして愛芽は零に手を出す。
「どうしたんだ?」
「仲直りの握手!!」
零はふっと微笑み
「なんだそれ……」
そう言いながら愛芽と握手をする。
「冷たっ!!懐かしい〜!」
(でも、久しぶりだからか前より冷たく感じる。)
「このくだり何回目だよ笑」
「久しぶりにやりたかったの!!」
2人は握手をしながら
「改めてもう半年しかないけど、よろしくね!!」
「ああ、よろしく」
その様子を後ろから見てた3人は
(もう付き合っちゃえよ)そう思う大輔
(やっぱりもう付き合ってるのかな?)キャンプのこともありそう思う美結
(俺はまだ諦めないぞ!)そう思う稲木
それぞれ思うことが違うが、静かに2人を見守っていた。
その後愛芽はクラスの前で改めて再び自己紹介をした。
「……なので、また仲良くしてくれたら嬉しいです。改めて1年間ってもう半年かな?とにかく、よろしくお願いします!!」
その自己紹介が終わると同時に
「愛芽ちゃんおかえり〜!!」
「愛芽さんの帰還だ!!!」
「付き合ってください〜」
などとクラス全体から声を向けられる。
「ありがとう!!」
そうして再び愛芽は桜夢高校に帰ってきた。
裏話 愛芽のクラスにいて欲しい人に稲木がいないのは、零に対して酷いことを言ったのをまだ根に持っているからです。




