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君の手は雨より冷たい「修正版」  作者: 紡雪
第一章

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第52話 君の手は”俺”より温かい

今は病院に着き、そのまま愛芽は手術室に運ばれ診察を受けた零は”手術中”の赤いランプが光った手術室の前の扉の前にある椅子に座っていた。


(落ち着いてはいられないけど今俺に出来ることはない。)

冷静を何とか保ちながら大輔に電話をしていた。

「おい!事情は分からないが、愛芽さんは大丈夫なのか!?俺もすぐに行きたいけど、まだ電車が動かないんだ!」


「今は手術中だ……どうなるか分からない...」

零の声が震えているしスマホを持つ手も震えている。

「お前は近くで見守れよ!」

「分かってる...」

そう言って電話を切った。

零は下を向く。

そこで静かな病院の廊下に足音が聞こえてくる。

隣に誰かが座る。

「君には本当に辛いめばかりに合わせているな...。私のやることは全て裏目に出てしまう……私は……愛芽を……守りたいだけなのに……」

”愛芽の父親”は泣きながら聞く

「愛芽はどうしてこんなことに……?」

「朝早くに海で話していたんです...そんな中風が強くなっていき、急な嵐が俺たちを襲いました。その後すぐに波が愛芽を海に引きずり込み...何とか助け出すことが出来ましたが…………水アレルギーとかで...愛芽が...」

愛芽の父親は

「そうか……やっぱり君が助けてくれたんだな。 本当にありがとう...」

(助けた?いやまだ愛芽は……)

そう思いながら

「まだ……ちゃんと助け出すことが出来てないです...。」

と思ったことを言う。

愛芽の父親は一度落ち着いてからもう一度口を開く。

「愛芽の話をしよう。愛芽は水アレルギー治るはずがないと言われている病だ……...幸い軽い水なら大丈夫だが...長く雨に濡れるお身体に異常が出てしまう……だからその症状を軽くする塗り薬で今まで耐えてきたんだ。」

(”あの時”もう二度とこんな辛い目に愛芽を合わせたくないと誓ったのに……)

そう愛芽の父親は心で考える。


「けれど、海外でその治療法が発見されたんだ。アレルギーだから完全には治らなくても、今までと比べると快適な生活が過ごせるようになる。だから海外に行くことを選んだんだ。」

(そうだったのか……だからあんなに文化祭の時必死に……)

そのまま愛芽の父親は語りだす。


「昔何度も危険なことに愛芽を合わせてしまって、特にある雨の日に長時間雨に濡れたことがあってな……ある少年が傘を貸してくれなかったら……残念ながら今ここにはいなかっただろう。」

(その少年ってさっき愛芽が言っていた子かな?)

「すまない...君には関係ないな……なんでだろうな?何故か今は昔のことを思い出してしまう……」

そのまま愛芽の父親は黙り込んでしまう。


(私は春夏の分まで愛芽を守らなきゃいけないのに!!愛芽は助かるのか……?)

不安でしょうがない、そう思った時、


赤いランプが緑色のランプに変わる。

その瞬間医師が一人扉が開き、出てくる。

零と愛芽の父親は立つ。

零の心臓は破裂しそうなぐらいに、

ドクンッドクンッという音が繰り返し鳴っていた。

医師はゆっくりと口を開く。



「手術は………成功しました。」

零は膝を着く……

「本当に...よがっだ!」

泣きながらつぶやく。

愛芽の父親はひたすら

「ありがとうございます」

と医師に言う。

(愛芽が助かった……)

「ですが本当に危ない状態でした……あらかじめ塗られていた薬の効果が無ければ……残念ながらアレルギー反応が原因で彼女は亡くなっていたでしょう。」

(一か八かで塗った薬は予想通りアレルギーを抑える薬だったのか……良かった...)

「とにかく、まだ目を覚ましていないので目を覚ますまで傍にいてあげてください。」


そのまま愛芽を病室に運び、零達も移動をする。

零は大輔に電話で伝えに行く。


「大輔!愛芽は助かったよ!!!お前のおかげだ!」

「良かった〜!」

(??)

「俺のおかげってどういうことだ?」

大輔は思ったことをそのまま聞く。

「いや……色々な」

(大輔が喝を入れてくれなきゃ、俺は諦めていたかも…いや、諦めていた。そしたら、上着に薬があることに気がつくことはなかったかもしれない。愛芽は助からなかったかもしれない。)そう考えると、大輔のおかげだと零は思う。

「電車が動いたらすぐに向かうからな!」

「ああ、」

そうして電話を切り、愛芽の部屋に戻る。


ゆっくりと時間が進む……

「すまない...零くん、仕事先に連絡しなくては行けない。君はここにいてくれ!」

「分かりました。起きたら電話するので...電話番号を教えてください。」

愛芽の父親は電話番号を教えた後に走って外に向かう。


(私は死んだのかな?流石にあんだけの水に触れたら死ぬか……)

真っ暗で何も見えなかった景色は段々と晴れて明るくなる。目の前には母である千堂春夏が立っている。そしてただ笑顔で愛芽を見つめる。


これは愛芽の知らない記憶。

「”あめ”って名前はどう?」

病室で春夏は夫に聞く。

「いいな!漢字は……」

考える夫を前に春夏は笑顔で

「愛が芽生えるで”愛芽(あめ)”はどう?」

そう聞く。

「いいな!それが一番いい!!」

夫も笑顔を春夏に向ける。

「私が思う愛芽に込めたもうひとつの意味”大切な愛せる人と、未来を芽ばえて行って欲しい”そんな願い……」

お腹を撫でながら言う。

「おぎゃぁ!」

元気な産声をあげて、生まれてきた子。



しばらくの沈黙の後……

「れ……い...」

一つの小さな声が聞こえる。

そこまで長い時間は経っていないはずなのにとても懐かしく思う。彼女の声……


「愛芽!」


俺は叫んで愛芽のベッドに近寄る

「助けて……くれて...ありがとう!」

「俺も一度命懸けで助けてもらったんだ……お互様だろう?」

俺は涙を流しながら言う。

真実を知った今なら、あの時愛芽は本当の意味で命懸けで助けてくれたことが分かる。


「手を……握らせて?」

愛芽に言われた通り俺は愛芽に手を伸ばす。

そのまま愛芽の手を握る。

俺は涙を流しながら笑顔になる。


(愛芽の手が俺より暖かい……)

俺はあらためてほっとする。


「君の手はやっぱり私の手より冷たいねぇ〜」


途切れ途切れだった声が直り、愛芽は言う。


「当たり前だろ?俺の手は”愛芽の手”より冷たいんだから……」

(愛芽は気を失っていて俺の告白を知らないだからあらためて……それは帰ってきた時、いや……時が来たら伝えたい。)

注意 水アレルギーは今現在医療法は確立していません。あくまで、物語はフィクションです。

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