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君の手は雨より冷たい「修正版」  作者: 紡雪
第一章

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第50話 君の手は雨より冷たい2

これは...”最悪”だ。

終わった……


そこで強くなった風はパラソルを吹き飛ばす。その時こちらにあるものが飛んでくる。薄い上着だ。このポケットの中にはスマホが入っている。そのスマホは振動していた。

大輔だ。

(大輔は朝に帰ってくると言っていた!!もしかしたら助けてくれるかもしれない!!)

零は希望に縋るように電話に出る。


「もしもし?朝早くすまん、電車が急遽雨で運行中止で……って……???」

そこで大輔は異変に気づく。

「おい!!なんで泣いてんだ?」

「………」

零は何も喋れない。

(そうだよな……こんな雨の中電車が動くわけ……)

最後の希望があっさり壊されたことは零にとってもう何も考えられなくなっていた。


次の瞬間ーーーー

「おい!!!何があったかはわからないけど!!」

「諦めんな!!!!!零!!!!!」

(!!!?)

その大輔の声は雨にも負けず、鮮明に聞こえる声で、零に力をくれる。

「いつも我慢して、辛くても何も困っていないようにしている零が、取り乱すってことはなんかあったってことなんだろ!?なぁ」

「なぁ、大輔、ありがとうな!」

大輔の言葉を、遮ってそれを一言言い、電話を切る。

電話を切られた大輔は駅のホームでつぶやく。

「頑張れ親友……」


(全く、非力なのに、人に与える力は絶大だな。……ありがとうな親友)

零はそんな事を思いながら、立ち上がる。

(不思議だ。さっきまでは立つことすら無理だと思ったのに……)


「諦めんな!!!!」

そう自分に言い聞かせるように叫んで上着を掴み、着て、ホテルに向かって走り出そうとする。

(!?)

その時、零に何か硬いものが当たる。それは上着のポケットに入っている。確かめると、日焼け止めが入っていた。

(この日焼け止め……)


キャンプの時、雨が降りそうだった時に塗っていた。

海に来た時、すぐに塗り始めた。

2つとも”水”が関係する!!!!!


「これか!?これなのか?愛芽!!」

愛芽はもう気を失っている。

愛芽が日焼け止めと言っていたものだが...今はこれが薬だと祈るしかない...

(でも、なんで俺の上着に?)

そこで零はこの上着が愛芽のものだということに気づく!

そんなことより……

(頼む!!!)

雨と風がやんできた……

一か八か塗り薬を塗り始めていた零は..…


「生きてくれ!!!!頼む!!」

その瞬間雨と風の音は零と愛芽に取って無の存在となる。そんな気がするように零の言葉は雨と風に負けないぐらいに響いていた。

愛芽は気を失っている。


「最初はからかわれてばかりで本当にそんな気持ちは微塵もなかった...けど...今は愛芽!”千堂(せんどう)愛芽(あめ)”、君のことが好きなんだ!!!」


これは、愛芽の父親との約束も破ったことになる。愛芽は気を失っている..全く聞こえてないかもしれない……でも不思議と後悔は……...ない!

塗り薬を塗って薄い上着を愛芽にかける!

「上着、返すな……」

(頼む生きてくれ!)

後は願うだけ、救急車が1秒でも早く来ることを……そうして約2分後


「ピー……ポー…………ピー……ポー」

雨の音に紛れて希望の音が鳴り響く。その音は次第に大きくなっていきーーーーー

すぐに救急車がやって来て、中から何人か人が出てくる。

「大丈夫ですか?意識がない!担架をもってこい!!」

「はい!」

そんなやり取りを救急車から出てきた人の1人に毛布を肩にかけられながら聞いていると……


「心臓は?弱ってきている!」


という言葉が聞こえてきた。

零の体はもう疲れきっていてさっきまであまり動かなかったはずだが...謎の力が俺の背中を押し...愛芽の所に走り、駆け寄る。

「動いちゃダメです!君もあの海に入ったとなると危険な状態だ!」

そんな声が聞こえるが今はもう何も考えない。


「愛芽は!愛芽は助かるんですか!?」

そこまで言い切って零は急に限界が来て膝を砂浜につける。


「急ぐので下がってください!」


「あなたも病院に来て見てもらいます。担架で救急車に運んだ後救急車に乗ってください。」

さっきの人にそう言われた俺はフォローされながらも、何とか救急車に乗る。


(愛芽...!)

零の手は震えていた。毛布をかけてもらってもう寒くはない。なのにずっと震えている。


「手を握ってあげてください。」

救急隊員にそう言われた零は……


「……」

動かなかった。

(愛芽の手がさっきの時より……俺の手より冷たいかもしれない……)

そんな思いが零の手を鉛のように重くしたのだろう。

(愛芽が危険な状態であることを再認識したくなかった... 今はただ……..怖い...)


「零……...」


微かにそう聞こえた...

(今の声は間違いなく愛芽!)


「愛芽!意識が戻ったのか?」


「な...に?その……か...お……は」

「もう無理して喋るな」

そう言ったが...愛芽はまた口をわずかに開く

「もし...かして……怖い...の?わ...たしが...しぬ.....の…….....が...」

いつも零をからかう時の表情をしている愛芽に対して零の顔は……



ピーーーーーーーー!!

(!!?)

「下がってください!心肺停止状態!これから心肺蘇生法を始めます!いち!にっ!さん!……」

呆然とする零を後ろに追いやり心肺蘇生法を始める。

他の救急隊員は

「病院まで残り3分です!」

「すでに病院側の手術の準備整いました!」

と慌ただしくなっている。


(手術?心肺停止?冗談だろ?.....また俺をからかってるだけなんだろ?)

零の前には大粒の雨しか見えなかった。

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