表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の手は雨より冷たい「修正版」  作者: 紡雪
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/65

第44話 君の諦めは悪い

試合はお互い1歩も引かず、進んでいく。スマッシュを何度も打ち込み、セットを最初に取ったのは、麗音。

「やっぱり麗音さんが負けるなんて有り得ねぇんだよな〜」

「相手は所詮、名のない高校だしな」

雪譜高校の人達は安堵する。だがその煽りのセリフは点が「11-8」と決して余裕ではなかったのを隠したかったのかもしれない。


(俺は最後まで全力で!!)

スマッシュを受けては、スマッシュを打つ。そんな持久走をしているような感覚でも諦めず、鷹梨はボールを追う。そんな余裕のない鷹梨の脳内には、昨日の記憶が蘇る。


「あのさ、日頼。明日の試合で君が頑張ったらさ、私達付き合わない?」

そんな普通じゃないあいつなりの、”鈴木”なりの告白に、鷹梨は応えたい。


(だから俺は最後まで諦めない!!)

スマッシュを打ち込む。

「イレブンナイン(11-9)」


「凄い!!」

愛芽に続いて、零達も歓喜する。そんな中、笑顔で(本当に諦め悪いよね、日頼君)と思う鈴木。

この試合が2回戦ないじょう次のセットを取った方が勝者となる。今やこの試合は会場内でも一番に注目されていて、多くの人が観戦していた。


「俺のスマッシュを何度も受けて……そろそろ腕が限界なんじゃないか?」

麗音は、はぁはぁと荒い息を吐きながら煽る。

こんなに麗音のスマッシュに耐える選手はいないため、疲労が出てきていた。

「そっちこそ……そんなスマッシュ…………何度も打って…………限界だろう?」

麗音以上に荒い息で鷹梨は煽り返す。

そこからは一進一退の攻防で点と時間だけが進んでいく。「5-5」「6-6」「7-7」「8-8」「9-9」「10-10」そして試合はデュースへと進み……

鷹梨のサーブで下回転サーブを出すと、麗音は迷わずドライブを打つ。

(一応上回転と下回転の分かりずらいサーブなんだがな……)そう思いながら

(あまりやったことはないけど、この均衡を破るにはここで予想外のことを!)


「!?」

麗音は驚く、ここでスマッシュ攻撃の多かった鷹梨が、カットをしてきたことに。

カットを麗音はドライブで返し、そのドライブを再び鷹梨はカットで返す。そのラリーは2回、3回と続いていく。


つまり……ここからは

((集中力勝負!!!))

先に集中力を切らしてミスった方が負ける。

そこからラリーは10回ほど続き、ついに鷹梨は……

(はっ!!)

鷹梨がカットをしたボールはネットにかかり、ボールはネットを越えない。

「イレブンテン(11-10)」


「ラストーーーー!!!!」

雪譜高校の観客席ではそんな掛け声が起き、零達は

「どんまい!!」と叫ぶ。

それでも人数の差は無慈悲で……


「サー!!」

麗音のサーブは鋭く、鷹梨の予想していた場所とは違う場所に来る。

(ちくしょう!!)

そう心で叫びながら腕を伸ばす。

(お前はこのサーブでも取るだろう……)麗音はそう考えながらスマッシュを構える。

鷹梨の腕をギリギリ届き、何とかサーブ打ち返すがそのボールは麗音にとっては絶好のチャンスボール。


(やはり返すか……だが、)

(これで終わりだ!!!)麗音はスマッシュを打ち込む体勢に入る。

体勢を崩した鷹梨はすぐに

(早く下がれ!あのスマッシュが来る。急げ!!!)

そう自分に言い聞かせるように体勢を崩しながら台から離れる。

鷹梨が麗音の方を向いた時には……ボールがネット際に落ちていた。

(フェイント……!?)

麗音はスマッシュを打つ体制はフェイントでネット際に短くボールを落としたのだ。

「麗音選手の勝利です。」

審判はそう宣言する。


その瞬間パチパチと会場内で拍手が巻き起こる。この拍手は紛れもなく、麗音そして鷹梨に贈られた拍手だった。


(負けた……けど、全力を尽くした!)

「楽しかったなぁ……」

”部長”の(まなこ)には雨は一切降らず、快晴だった。そんな鷹梨に麗音は駆け寄り、

「ありがとう」

ラケットを前に出しながらそう一言対戦相手に贈る。鷹梨はそのラケットに自分ラケットをコツンッと当て、2人の試合は終了した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ