第41話 君のインターハイ予選
インターハイ予選が今日行われる。零は前に試合を行った場所であり、今回の試合会場の桜木丘体育館に来ていた。
「なんで愛芽ちゃん強いのに試合出ないの〜?」
「いや〜少し私情が……」
日向先輩に聞かれてあははと苦笑いしながら誤魔化す愛芽の様子を見て零は思う。
(試合に出ないってことは、本当に…引っ越しちゃうんだな…今までみたいにからかうための嘘だったら良かったのに……)
零の暗くなった顔に気づいたのか、愛芽は零の元に歩いて来て
「頑張ってね!」
そう伝える。その後、集合してから試合の対戦表を配られ、部長が
「みんな今までの力を発揮出来るように頑張ろう!!!」
それだけ伝えて解散した。
対戦表を見てみると、対戦相手は夢都高校の笹村裕翔、2年生。夢都高校は私立高校なので、偏見だが強そうで不安になる。
「相手私立か〜キツいね〜」
後ろから愛芽が覗いて見ていた。
「そうだな。」
愛芽は零の不安な気持ちを吹き飛ばすように
「でも勝つんでしょ?」
と笑顔で言う。
(勝ちたい……リベンジもしたいしな……)
そう思った理由は3回戦の対戦相手は”あいつ”だからだ。零の脳裏には、雪譜高校の千田夜努だった。
次の瞬間
「ちょっと!!!」
その声が響き渡る。その声を出したのは、鈴木先輩だ。いつも穏やかな鈴木先輩が声を荒らげたので、部員だけでなく、顧問の先生までも驚く。
「どうしたんですか?」
と言って駆け寄る日向先輩に愛芽、零も続く
「高梨の初戦の対戦相手、雪譜高校の1番手なんだけど!!優勝候補なんだけど!!!!」
「ああ!知っている!」
自信満々に部長が言う。
(すごいな……対戦相手がやばくても、負けたら引退なのに、緊張して無さそうで)
「……なんて思ってるんじゃないか?」
零は部長に心を読まれて図星をつかれる。
「ち、違うんですか?」
「緊張してるよ………ほんのちょっとだけね」
「本当にちょっとだけ!!」
人差し指と親指でちょっと幅を作り、強調するように2回いう。その後すっと戻り。
「でも、対戦相手が強かったから負けてもしょうがないは、後悔が残る。」
「だから全力で戦う。全力で戦って負けたなら後悔はない!!」
(本当にこの人はかっこいいな……)
「もちろん勝つけどな!!!」
笑顔でそう言う。
「第1試合がある人は1階に降りてきてください!」
その放送が流れて、零は部長に
「頑張れよ!!」
そうガッツを入れてもらい、1階に降りる。零は内心
(強い人じゃないといいなぁ〜)、(勝ちたいな……)などと思いながら階段を降りた。
自分の試合をする台は15番なので、1階に降りてからそこへ向かっていると、15番台に人は既にいた。
「笹村さんですか?」
「はい……お願いします………」
「よろしくお願いします!!」
かなり暗い感じで、挨拶をされたが、明るく返す。
その後審判が来て、ラケット交換をする。
(異質ラバーではない……)
その事実が零を安堵させた。ラケット交換に続けてサーブの先行後攻のじゃんけんをする。零はパーをだし、笹村さんはグーを出す。
「サーブで!」
「よろしくお願いします!」
改めて挨拶をして、試合は始まる。
前回の試合で気づいたことがあった。(ひとつのことを鍛え、それが相手を上回れば勝ち目はある。)そう考えた。
(だから俺はーーーーー)
零は下回転サーブをだして、相手はそれをツツキで返す。それを零はあの時からひたすら練習をしてきた”ドライブ”で打ち返す。
そのドライブは上回転を多く含み、スマッシュのような速度で相手が反応する前に相手コートに落ち、1度バウンドして遠くへ飛んでいく。
「ワンラブ(1-0)」
「やった〜!!」
観客席で愛芽は喜ぶ。
「すごいドライブね。あれは打ち返すのが難しそう」
日向が関心していると部長は
「俺に何度もコツを聞き、零は前回の試合からずっとドライブを練習し続けていたんだ。」
高梨は体育館が閉まるギリギリまで練習をしていた零の姿を思い出す。
「頑張れ!!」
そしてそう零に喝を入れる。




