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君の手は雨より冷たい「修正版」  作者: 紡雪
第一章

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36/65

第36話 君の正直な謝罪

(なんでこうなったの?)

美結は草むらの中、身動き取れずにじっと零と愛芽を見る。


3分前

美結は零が星を見て笑っている隙だらけのところを見て、いっちょ脅かしてみようと草むらに隠れていた。すると……

(愛芽ちゃん!?)

愛芽ちゃんが零の隣に座った。

(ここで私が動けば私が見てることがバレる。)

そんな事があって悪気は無いが、2人が居なくなるまで見守ることしかできなくなった。


「覚えてる?」

「え?何が?」

「夏祭りのこと」

夏祭りと聞いて、零は瞬時に「覚えてる!」と答える。答え終わると、心臓はだんだんうるさくなる。

「キャンプは終わってもまだ、夏休みは終わってないんだからまだまだ”皆”で思い出を作ろうね」

「ああ」

そう笑顔でいう愛芽を見るとさらに心臓はうるさくなって、心臓の音しか聞こえなくなる。

(静まれ!!)

しばらく沈黙が続くと愛芽は立ち上がり、

「じゃ、先に戻ってるからね〜」


「それと…お祭り結構楽しみにしてるから、覚えててくれて嬉しかったよ」

そう言って、立ち去る。

愛芽がいなくなってなお、心臓の音はなかなか鳴り止まなかった。


一部始終を見ていた美結は(もう2人付き合ってるの!?)と心中で叫ぶ。

しばらくして、零もいなくなったのでやっとの思いで草むらから出る。

「恋のキューピットはもう終わりかな?」と苦笑いをしながらテント戻る美結。


零がいない間の男子テント

零がいなくて、大輔と2人っきり、稲木は今大輔に謝る最大のチャンスだと思っていた。

(このキャンプの間、罪悪感を抱えたまま遊んで思い知った。俺は罪悪感や気まずさで100%みんなとのキャンプを楽しむことができていない……)

(これがずっと続くのは絶対に嫌だ。これ以上後悔したくない。)その気持ちが俺の背中を押してくれた。


「大輔…話さなきゃいけないことが……あるんだ。」

大輔はそう言ってから心を落ち着かせるために、深呼吸をする。

(正直に言うんだ!!!)

「なんだ?」

大輔は軽く聞き返す。

「大輔が辞書を運んでいて、俺が零に強く当たったのは覚えてるか?」

「ああ」

大輔はそう答えて思い出す。

大輔が零を手伝うために辞書を持ったが、大輔が非力だと知っていた稲木は零が大輔に”持たせている”と勘違いしてトラブルとなった。

(あれは非力だと隠していた俺にも非はあった)そう思い大輔は1度目を下に向け、再び大輔に目を向ける。


「俺はもう一度大輔に謝らなきゃいけない。」

「俺は愛芽さんに気に入られているあいつに”嫉妬”をして、大輔が非力なことを無理やり理由にして零にあたっただけだ。」

「大輔に対してもとても失礼だったごめん!!俺と友達をやめないでくれ!」

稲木は頭を下げて目をつぶる。

(今まで言うのが怖かった……けど言えた。)

けれど怖いのはここからだ。大輔がどんな反応をするのか。

(やっぱり友達じゃ……いられ……)

「そうか、”正直”に話してくれてありがとうな!!」

大輔はそう言う。

「けど……俺は謝る相手が違うと思うんだ。」

(相手が違う?)

自分の思っていることとは違う返答が来て稲木は驚く。


「本当に失礼なのは零に対してじゃないか?」

(そうか……俺はバカだな……)

稲木はそう思い、涙を流す。

(本当に…………)

「ごめん……そうだな」

「それと、俺と稲木は友達じゃない、”親友”だ。」

大輔は笑顔で話す。それに稲木は「えっ?」と声を上げる。

「一度固まった絆はそんな簡単にほどけると思うなよ?」

そう言った大輔。稲木はただ涙を流す。そして本音を話す。


「俺ぇ…昔の友達に正直に謝って………決して許されることでなかったから…しょうがないけど……友達じゃなくなちゃったんだ。だから怖かった。正直に言って大輔と友達じゃなくなるのが。」

稲木のその本音に大輔は静かに頷きながら聞いてくれた。

しばらくして稲木が落ち着き、大輔はひとつ聞く。

「零に正直に謝るのは怖いか?」

(怖い)

その質問を正直に心の中で答えた稲木は自分でも驚く。

(そっか…俺、零とも友達じゃなくなるのが怖くなってたのか……)

たった数ヶ月、その短い時間でも……


零がテント帰ってきた時、稲木は大輔と目を合わせる。(頑張れ!)大輔は心の中で頷き。稲木は零の近くに歩いていき、

「零、今までごめん!!」

そう謝罪した。


次の日の朝

朝早く目が覚めた稲木は

(零、許してくれたな……)

でも、

(今までの事はちゃんと、これからの行動で償う!!)

そう決心して稲木はテントの外へ行く。

ミーンミンミンミーン!そうセミが鳴く。

「今日は晴れたな」稲木はそうつぶやく。

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