第34話 君のトラブルだらけのキャンプ3
釣り堀から帰ってきた3人はなかなか帰ってこない2人を心配していたが、森から帰ってきた愛芽と零を見つけて安心する。だが、稲木は少し不機嫌になる。何故かと言うと……
「おふたりさん〜イチャイチャしてますね」
美結に言われて零はとっさに握っていた手を離す。愛芽は少し寂しそうな顔をした。
「そんなんじゃない、クマが居たから一応な」
「一応すぐに守れるように?か〜あついね〜」
(こいつ後で覚えとけよ)そう怒りを感じる零に対して
美結は急に、
「怪我とかはしてない?」
ギャップを感じるぐらい急に心配し始める。
「私は大丈夫だよ〜美結ちゃん!」
愛芽は元気にいい、その後、けど……と言った感じで、零を見る。
「怪我したのか?」
大輔は愛芽の視線を追い、布で足が固定されているのに気づく。
「大丈夫か?」
稲木も患部を見ようとするが、
「大丈夫だ。そんなに酷い怪我じゃない」
零は続けて
「さぁ!昼飯食べようぜ!」
明るく言う。その言葉でみんなは魚を焼く準備をする。そんな中、
「こい!」と稲木は零をテントの中に連れていき、
そう言って布を一旦外す、
「なんでわかったんだ?」
「お前、すぐ無理をするよな。足引きずって歩いてるからすぐわかったぞ?」
稲木は教科書を運んでいた時のことを思い出して、
(本当に、自分を大事にしない奴だな……)と呆れた感じ、そして”申し訳ない気持ち”で思う。
稲木は手際よく、応急処置をする。
「応急処置ができるのか?」
「俺の親は医者だから、ある程度はな」
そう言いながら新しい布で縛り、
「よし!これでオッケーだ。無理して動くなよ。」
「ありがとうな!!」
零は稲木にお礼を言う。稲木は無言でテントから出ていく。それに続いてテントから出ると……
「零!助けてくれ〜!」
大輔と美結が泣きそうな目でこちらに向かってくる。
「どうしたんだ?」
「火が…つかない」
奥を見ると、木の棒と何度も擦って削れた部分が見える小さい原木があった。
「マッチとかライターでつければ?」
「持ってきてない…忘れたんだよ。」
零の質問にどんよりしたように答える大輔
「私たち永遠にご飯食べれないのよ〜!!」
山に向かって投げやりに叫ぶ美結。
「キャンプ場の運営の人に聞きに行ったけど、誰もいなかった。」
そう愛芽が言う。
「じゃあ、何とかこの方法で火をつけなきゃ飯抜き?」
みんなは木を見る。
役割として、まず零と大輔と稲木が交代で木の棒で摩擦を起こしたり、下の擦る方の木を固定する役。愛芽は火種が出たら息を吹きかける役。美結は火が少し大きくなってきたらどんどん有機物を追加していく役だ。
まず最初に木の棒で摩擦を起こすのは大輔だ。
「キツくなったらいつでも変わるからな。」
「無理はするなよ」
零と稲木が声をかけると
「俺は体力はある方だから任せとけ!それにさっきまでやってたからコツが掴めてきた」
その言葉に零だけでなく、みんな期待する。そんな中、稲木だけは渋い顔をする。
「うおおおおぉ!!」
「はぁはぁ……あとは…頼んだ……」
そう木の棒を次の稲木に託す。大輔は20秒ぐらいで力尽きる。
「早っ!!」
愛芽は声を上げる。
やっぱりか〜と思う稲木。(昔から大輔は体力がないからおかしいとは思ったんだよな)
そこからは持久戦だった。限界が来たらすぐ交代して、絶え間なく摩擦で火を起こそうとする。その時間は30分を越えようとしていた。
途中、愛芽と美結も火を起こす役にまわってくれたが、既に手は限界を迎えていて、全員が諦めかけたその時……零の番の時に希望の煙がフワッと出てくる。
「稲木頼む!」
大輔はかなり前にリタイアしているため、零は稲木にパスする。「ナイスだ零」稲木はこの希望の煙が消えぬように必死に摩擦を送る。すると、煙はさらに大きくなる。だが、そこで稲木の限界がくる。
「俺も少しでも役に……」とリタイアした大輔が再び頑張る。大輔は20秒くらい摩擦を送り、煙がかなり広がる。
「最後は頼んだ!零!」
疲れた大輔と稲木が見守る中、限界が来るまで必死に木の棒で摩擦を起こす。そこで火種らしきものが見えてラストスパートをかける。
(まずい…そろそろ限界…)
大輔も稲木も限界で交代する人が居ない。
手が限界を迎えて滑り、今までの努力が消えかけたその時、俺が持っている木の棒の上の部分を誰かが持つ。
(さっきから手がボロボロで限界のはずなのに……)
「二人でいっせのーで行くわよ!」
そう言ったのは愛芽だった。
「ああ!」
2人の息はぴったり合っていて、火種は次第に大きくなっていく……そして、、、
火種は成長し、火がつく。
「美結ちゃん!」
その愛芽の掛け声で美結は少しずつ、薪を追加していく。そして火は安定する。
(良かった……!!!)
それを見届けた零は安心して倒れる。横を見ると愛芽も倒れてこちらを見てる。
「やったね」
愛芽は歯を出してニコッと笑う。その笑う姿はとても……
「火を起こしで役に立てなかったぶん、俺が魚を焼くからみんな休んでてくれ!!」
「それは私もよ!だから手伝わせて!!」
「いいけど、休んでいてもいいんだよ?」
「いいの!」
大輔と美結が魚を焼き始める。稲木はテント向かう。
(ふぅ〜やっとご飯を食べられる。)




